甦るロシア帝国/佐藤優

佐藤さんは、崩壊前のソ連に外交官として勤務していた頃に、モスクワ大学で神学について講義をしていた。本書は、その時の教え子の学生や、周辺の知識人たちとのやり取りを通して、ソ連崩壊の理由について考えたことを述べた本であるとのこと。

自壊する帝国を読んだときに、ソ連は何で崩壊したんだ?いつの間に崩壊したんだ?と思った記憶があるが、多分あちらにはそういうことはあまり書いてなかったんだな。

 

私のとってこの本の内容は、興味深いと思う一方で、馴染みのない考え方が度々登場するのでいまいちしっくりこない部分も多々あり、というところだった。まあこの方の本を読むときにはよくある。

けれどよく分からないことも、こうして何度か触れているうちに、何となく分かるようになってきた気はする。

 

 根本的な原因はさておき、ソ連が崩壊した直接的な原因は、ソ連に含まれていた国が次々と独立したことだとのようだ。国・・・民族の問題と言ってもいいのかな。

民族とは何かと改めて定義しようとすると、何と言ったらいいのだろう。佐藤さんは何と言っていたっけ。日本に住んでいると多分大半の人はそうだと思うけど、あまり意識することがない問題だ。だけど一つの国の中に複数の民族が住んでいることもあり、そういう国に住んでいる人たちはきっと、「自分は○○人だ」という意識を強く持っているのだね。

 

それから一つ印象に残ったのは、とても優秀で容姿も整っているけれど、少し特殊な地域に生まれた女性が、親兄弟を養うために外国人の愛人になってしまったという、ちとショックな話。不憫でならない。

 

甦るロシア帝国 (文春文庫)

甦るロシア帝国 (文春文庫)

 

 

紳士協定/佐藤優

佐藤さんが外務省の語学研修のためイギリスに留学した際に出会った、ホームステイ先家族の末っ子グレンが主な登場人物。

若手の外務省職員と12歳の男の子は、お互いの勉強を助け合うという紳士協定を結んだ。

 

イギリスは階級の移動が日本よりずっと小さいらしい。確かに私は階級なんて意識したことがない。私が偶々そういうことを意識する環境で生きていないだけなのかもしれないけれど、多分多くの日本人は私と同じなのではないかな。

私の親は大学を出ていないけど、私は大学を出た。仮に私が実際に行った大学よりももっと良い大学に行けたとしても、階級について考え、躊躇することはないと思うけれど、グレンは大学に行くかどうかを悩んでいた。大学に行くと、親とは違う世界で生きることになるかららしい。そんなに生き方が変わるものなのか。そのことがそんなに問題なのか。その辺りが日本とは考え方が違うということなのか。

結局グレンは大学に行かないことを選択する。人それぞれに理由があってのことなので何とも言えないけれど、せっかく意欲や才能があるのに、私からすると謎の理由でやりたいことを諦めなければならないなんて、残念な気がする。

 

殆どグレンとのやりとりがメインだけれど、もう一人の主な登場人物は同期の武藤さん。この方は佐藤さんの他の本でも時々登場する。佐藤さんの本をいくつか読んでいると、同じ人物がちょこちょこ出てきて、まるでCLAMPワールドのようだ(笑)。

それはそうとあとがきで、佐藤さんが逮捕された時、外務省が、佐藤さんを告発するための調査責任者を武藤さんにやらせた、という話が出てきた。この話自体は他の本でも見たことがあったけれど、この本で二人が仲互いしたわけではないのに徐々に距離が離れていく様子を見ていたので、何だか切なくなった。

  

紳士協定―私のイギリス物語

紳士協定―私のイギリス物語

 

 

大世界史/池上彰・佐藤優

池上さんと佐藤さんが、最近の世界情勢について対談した内容をまとめた本。

世界史とタイトルに入っている理由は、現在の世界情勢を読み解くには過去の歴史を知る必要があるから。私もそう思い、少し世界史を勉強したいと考えている。

 

この本が発行されたのは2015年で、割と記憶に新しい出来事の背景が分かって面白い。私が特に印象に残ったのは難民の話。

少し前にどこかに大量の難民がなだれ込んだというニュースを見た。難民になる人達も入ってこられる国の人達もどちらも気の毒だし、正直日本ではとても受け入れられる気がしない。

けれど池上さんが、昔から民族大移動があって、今難民となった人々が他国に大量に移動しているのはそれと同じ。そうやって世界が動いてきたんだということを言っていて、なるほどと思った。

日本は海に囲まれていて簡単に人が入ってこられないけれど、陸続きの国々はそういうことが昔からあり、受け入れる側もまあそこまで敷居が高くないということか。他人事だから言えるのかもしれないけど、メリットもあると聞くし、それほど悲観することではないのかもしれない。

 

 

美瑛 光の旅/中西敏貴

北海道に美瑛という所があり、その辺りの景色などを撮った写真集。

ふるさと納税のおかげで、このような高尚なものが手元にやってきた。

実は北海道、これまで特に興味を持ってはいなかったのだけど、最近北海道出身者の知り合いができ、少し興味を持つようになったことがこの写真集を手にするきっかけになった。

 

美瑛という地名は、アイヌ語のピイェが元になっているのだと書いてある。そういえば北海道には、アイヌ語が元になっている地名が沢山あると聞いたことがある。

それから美瑛の地には明治に初の入植者が入り、その後人の手で少しずつ開拓していったのだそうな。マイナス20度以下に冷え込むこともあり、そのおかげでこの写真集に載っているような美しい現象が見られるのだろうけど、そんなに寒くて、最初は何もなかったであろ土地にどうして人が移り住んだのか。北海道というところは、同じ頃に移り住んだ人が多いのかな。今度調べてみよう。

 

北海道には、見渡す限り人工の建物が何もない場所がどれだけあるんだろう。とにかくでかい。同じ日本とは思えないような気がしてくる。

写真一つ一つに言葉が添えられているのだけど、そのうちの一つに、「こんなシーンに出合えたら、明日はきっといいことがある」と書かれている。この写真集に載っているような景色を見られたら、ものすごくいい気分になれそうだ。

 

美瑛 光の旅

美瑛 光の旅

 

 

世界の歴史1 人類の起源と古代オリエント

最近、YouTubeで世界史の講義を聴いている。多分どこかの予備校の講義の録音だと思うけど、何があったかだけでなく、「その出来事がなぜ起こったか」や「それが起ったことにどんな意味があるか」を説明してくれるので面白い。

それで世界史を勉強し直したいなあと思い、本を読んでみたのだけど、この本ではちょっと道のりが長すぎる。情報量は多いけれど、全部読んだところでなかなかここから学び取るのは難しい。そして上に書いたような解説のようなことはあまり書かれていない。つまらなくはないけど、他にも読みたい本があるので・・・続きの巻はいつか沢山暇になったら読む・・・かも。

 

この本を読んで、思ったことを一つだけ。

この本に書かれている時代の人でも100年生きた人がいたらしいのだけど、もしかして意外と豊かな暮らしをしていたのかな?ストレスが少ないとか、現代人より体が頑丈だったとか?

織田信長が生きていた時代は大体50歳くらいで亡くなったという話だった気がするので、もっと昔の人なら寿命は30年くらいかと思っていた。

 

人類の起原と古代オリエント (世界の歴史)

人類の起原と古代オリエント (世界の歴史)

 

 

ぐでたまの『資本論』

資本論という本のタイトルは聞いたことがあるけど、読んだこともなければどんな内容かも知らなかった。

この本を読んだ感じでは、働くことに関する価値観について書いたものということかな。

この本は、資本論の本文から抜き出した文章に、分かりやすい意訳をつけたもの、ということのようだ。と言っても元の文章と意訳を突き合わせてみても、本当に元の文章でもこんなことを言っているのかと疑問に思うものも多々ある。(書かれている文章が部分的に切り取られていて前後の文脈が分からないせいなのか、意訳が元の文章からはかなり離れてしまっているからなのかは不明。)

けれどまあ、資本論にどんなことが書かれているのか少し分かったので良し。このシリーズは他にもあるようなので、機会があれば読んでみたい。

ホンモノの資本論に、この本に書かれているようなことが実際に書かれているのなら読んでみたい気もするけれど、きっと読んでも分からないんだろうなあ。

 

 

先生と私/佐藤優

佐藤さんの両親と、中学生の頃に出合った塾の先生達の話。

時系列的にはこの本の内容よりもう少し後になるが、主に大学生の頃に出合った先生達について書かれた私のマルクスはあまり面白いと思えなかった。でもこの本は国家の罠と同じくらい楽しんで読んだ。(多分私のマルクスは、私にとって分からないことが多すぎたのだと思う。)

 

この親だからこそこのような人が育った

佐藤さんは、ご両親に愛されて育ったのだなあ。そしてご両親も含めて、周りにきちんとした考えを持った大人が沢山いたんだな。私の両親からは、私の将来に役立つ知識を教えてくれたり、アドバイスをしてくれることなんてあまりなかったよ。

もちろん私の両親が何もくれなかったというわけでも、愛情をもって育ててくれなかったというわけでもない。それについて文句を言いたいわけでもない。生まれ育った環境が違うということだと思う。

 

恐るべし受験戦争

私は高校受験でも大学受験でも、午前何時に寝るとか、そんなきつい勉強の仕方はしなかった。(それどころか受験前でも毎日11時には寝ていて、高校の先生に驚かれた。だって健康第一だもの・・・。)この人が勉強しすぎなのか、東大に手が届くような人はこのくらいするものなのか分からないけど、中学生が目の下に隈を作ってまで勉強しないと駄目なんだろうかと思う。いやーもうこの時点でやっぱり生きている世界が違ったんだなと思った。

でも塾で教えるのが上手な先生に面白い授業をしてもらえるのは少し楽しそうだ。私も大学受験の時、塾(予備校?)に行けば面白い授業が聞けたんだろうか。

 

塩狩峠

佐藤さんは受験後高校に入学する前の春休みに北海道旅行に行くのだけど、そこで塩狩峠の舞台になった場所に立ち寄る。

塩狩峠とは、列車事故が起こり、そこに居合わせた主人公が乗客を救うために自分の命を投げ出すという、実話が元になった話らしい。タイトルは聞いたことがあったが、そんな話だったのか。この本の中に本文の引用があって少し心惹かれた。微妙な気分になりそうなので今のところ読む気はないけど。

 

続きがあるなら読みたい

この本の内容は元々雑誌で連載されていたもので、この本にまとめられた内容以降も連載は続いていたらしい。それは別のタイトルで出版予定とこの本の最後に書かれていたけれど、まだ出ていないのかな。「十五の夏」覚えておこう。

 

先生と私

先生と私