話を聞かない男、地図が読めない女/アラン・ピーズ+バーバラ・ピーズ

この本は、何年か前、と言ってももう大分昔だと思うけど、話題になっていたような気がする。

男女で脳の働きに違いがあり、それぞれ得意なことや苦手なことがあるよ、ということについて書いた本。

 

ずっと前に読み始めて、あまり目新しい内容がなかったからかいまいち読む気になれず、途中で読むのを止めてしまった。

やっと最後まで読んだけど、数か月放置していたせいで何が書かれていたか覚えていないし見直す気もないので、読んだという記録だけ残しておく。

 

「男らしく」とか「女らしく」とか育てられたからではなく、男と女で脳の作りに違いがあることはあるらしいけど、実感としては性差よりも個人差の方が大きいと感じる。

確かに時々、男性/女性特有かなあと思うことはあるけれど。

 

話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く

話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く

 

 

キャパになれなかったカメラマン(下)/平敷安常

米ABC放送のカメラマンだった著者が、ベトナム戦争の取材中に出会った人々などについて書いた本。

 

10年もこの戦争を取材し続けただなんて。途中で嫌になったとは一言も書いていなかったけど、思わなかったんだろうか。それとも書けなかったんだろうか。

彼の仲間たちもむしろ意欲的に取材に向かっているように書かれている。やりがいがストレスを上回るのかもしれない。もしくは向いてそうな人が配置されるのか。

 

著者は南北ベトナムのどちらの敵でも味方でもないけれど、取材仲間が戦闘に巻き込まれて亡くなった時、殺した側を敵と認識し、憎しみを抱いたと書いている。

そう考えると、当時ベトナムに住んでいて戦闘に関わっていない人達も相手側が憎いわけではなく、国が戦争を始めてしまって巻き込まれて、迷惑でしかないだろうなあ。

 

戦争に行っていた兵士がPTSDに悩まされるという話を聞いたことがあるけど、ジャーナリストも同じような症状に悩まされる人がいるらしい。

戦後、著者の仲間に上記の件も含めたアンケートを行ったところ、そのうちの一人が「ジャーナリストは兵士と違って逃げようと思えば逃げられるので、兵士とは緊張感が違う(だから自分はそういう後遺症には悩まされなかった)」というようなことを書いていたそうだ。

そうは言っても、戦場からなかなか脱出できなかったという話もこの本に書かれているし、ジャーナリストから何人も死者が出ているので、命懸けの仕事だと思う。

10年もそんな場所で平静を保ち続け、生き残ったということは、すごいことなのではないかな。

 

 

ファミリー・シークレット/柳美里

作家の柳美里さんが、息子さんにしてしまうこと、境遇の似た女性へのインタビュー、自身が受けた虐待について書いた本。

 

親子のやり取り

出だしは、柳美里さんと息子さんとのやり取りから始まる。

息子さんの言動が明らかに異常なのに、まず最初にそこを心配しないことが恐ろしい。

日常的に繰り広げられていると思われる親子の会話、と言うか親から子への罵声がつらい。

相手を思い切り罵ってやりたいと思う気持ち、それをやってしまった後の罪悪感、そんなことはしたくないのに毎回同じパターンにはまってしまう無力感。

 

ある虐待母

何故か突然、よく似た境遇の母親に会いに行き、話を聞いている。

この人に関して一番印象に残っている話は・・・

あることをきっかけに、実家に死ね等と恨みごとを書いた手紙を何度か送ったら、父親から電話がかかってきたそうな。

「今すぐ来い」と言ったら、来たのは母親だった。しかも結婚後初めて来たって。そんなんありかと思うけど、そういう家なんだろう。

ここで、「私が子供にどんなことをしたか教えてやる」と、子供にした虐待の内容を言いながら母親を殴りまくったという3行くらいで何だか泣きそうになってしまった。

3行ではさすがに泣かないけど、もっと事細かに当時の心境など書かれていたら多分泣いていた。

自分にここまでの経験はないけど、してもらいたいと思っていたことをしてもらえなくて怒ったり悲しんだりしたことを思い出す。

 

柳美里さんのカウンセリングと虐待の経験

柳美里さんが、カウンセリングを受けるまで親からされたことを虐待だと認識しておらず、カウンセラーの長谷川さんに何度も「私は虐待を受けたんですか?」と聞いていたのが印象的だった。

 虐待の被害者が、自分が虐待を受けていると気付かないという話はよく聞くけれど、もう親元を離れて何年も経っているし、真冬に裸で外に放り出されるだとか凄まじいことをされているし、カウンセリングを受けた当時40歳を超えていたので、さすがにあれはおかしかったと分かっているものじゃないかと思ったので。

けれど、当事者は分からないものなんだな。自分の身に起こったことだったらと思うと、そんな気もする。

 

そんな感じで柳美里さんは凄まじい生い立ちだと思ったのだけど、このカウンセリングをきっかけとしてついに何年もまともに話をしていないと思われる父親と対面で話すことになり、真実は分からなくなる。

柳美里さんの言うことと彼女の父親の言うことが全く合わない。

物事の受け取り方は人それぞれで、人間の記憶というものはいかに曖昧か。

私も人を恨むことはあるけれど、こちらの一方的な思い込みかもしれない。と思うと、人を恨んでも本当に何もいいことはないなあ。

 

この方の名前は以前から知っていたけど、今回初めて本を読んだ。

こんな過酷な経験をしてきた方だったとは。

他の作品は全てフィクションだと思うけど、経験をもとにした内容が少し形を変えて散りばめられているらしい。

(多分作家さんは、多かれ少なかれ誰でもそうだと思うけど。)

機会があったら読んでみるかも。

 

ファミリー・シークレット (講談社文庫)

ファミリー・シークレット (講談社文庫)

 

 

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」/橘玲

主に不動産の要否と保険の要否、それから日本の年金や医療保険の現状と今後の見通しについて書かれた本。

興味深い、という意味で面白かった。一部面倒臭い話は流し読みしてしまったけど。(かなり分かりやすく書いてくれているのだろうとは思ったけど・・・。)

ここに書かれていることが「正解」かどうかは分からないけれど、考え方の一つとして頭に入れておきたい。

 

不動産(持ち家)について、なるほどと思ったこと
  • 不動産を購入することは投資と同じであり、株などを購入することとの違いは、資産を何で持つかの違いでしかない。
  • 不動産は購入した瞬間から中古となり、以降は年月が経つにつれて価値が下がる。また、維持・管理のため保有しているだけでコストがかかる。

 

保険について、なるほどと思ったこと
  • 保険は当たらなければもらえないという意味でギャンブルと同じ。

とりあえず、ずっと前に入った掛け捨てのやっすいやつだけ入ってるけど、正解だったかもしれない。

今となっては貯金が沢山あるので、保険要らないのではという気すらしているけど、解除するのはちょっと勇気が要るかなあ。

 

年金や医療保険について、なるほどと思ったこと
  • 会社員になれば、厚生年金の保険料は会社が半分払ってくれるという話は、「物は言いよう」かもしれない。(社長がポケットマネーから払ってくれるわけではなく、お金の出どころは給料と同じなので、本来給料として支払われるお金から差し引かれているとも考えられる。)

 

いやー、色々知らないと困るねえ。

 

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」

 

 

世界ぐるっと朝食紀行/西川治

著者が世界各地で食べたものについて書かれた本。

この本に登場する食べ物全ておいしそう。

 

言葉も通じないのに、屋台みたいなところにふらっと行って食事をするというのはなかなか勇気が要りそう。

食べ物の詳細を聞こうとしても殆ど分からないし、名前を聞いても聞き取れないので、紙に書いてもらって、何回も発音してもらうのだとか。

 

この本にも出てくるタロイモ(この本ではダロイモと表記されていた。)を子供の頃社会科の教科書で見て、私はずっと食べてみたいと思っていた。

この本にはどんな味か書かれていなかったので、インターネットで検索してみたら里芋のような味らしい。

何となくそんな感じかなあとは思っていたけど・・・そうか、タロイモは手に入らないけど、日本には里芋があるからいいか。

 

世界ぐるっと朝食紀行 (新潮文庫)

世界ぐるっと朝食紀行 (新潮文庫)

 

 

交渉術/佐藤優

元外交官の著者が、実体験をもとに書いた交渉術。

この方の本はこれまでにも何冊か読んでいて、それらと一部内容が重複するけれど、今のところこの本と、一番最初に読んだ国家の罠が特に面白かった。

この方の書いた本がなぜ面白いかというと、人のことをよく見ているからだと思う。

国家の罠を読んだ感想でも似たようなことを書いた気がするので、この辺りについては省略。

 

国家間、または政治家や官僚をやっている人達の交渉術なんて、私には直接は関係がないけれど、似たようなことは私の周り(主に仕事で関わる人との間)でもある。

結局、人とうまくやっていくことが最大の難関なんだよねえ。

 

佐藤さんはこの本と、確か他の本でも米原万里さんのロシア語力には敵わないと書いている。

米原万里さんの本は読んだことがないと思う。いずれ読んでみたい。

 

交渉術 (文春文庫)

交渉術 (文春文庫)

 

 

海馬 脳は疲れない/池谷裕二、糸井重里

海馬を中心に、脳の仕組みや、頭がいいとはどういうことか等について、対談形式で書かれた本。

海馬とは脳の部位のことで、脳に入って来た情報のうちどれを記憶するか選択する役割を担っている。

 

30歳を過ぎてから頭が良くなる

この本を読んで最も印象に残ったことは、人の記憶力は30歳を過ぎてから爆発的に向上するということ。

記憶と言っても、数字の羅列だとか意味のないものを暗記することではなく、既存の知識と関連付ける(関連付けることで覚えやすくなる)能力が向上するということらしい。

記憶力というより学習能力ということかな。

これは私も実感していて、歳をとると新しいことを身に着けるのは大変になると思っていたけど、どうも以前より理解力が上がったような気がしていた。

気のせいではなかったんだな。

これまでそんな話は聞いたことがなかったけれど、周りの人に聞いてみれば、もしかすると同じようなことを感じている人がいるのかもしれない。

 

心配しなくても大丈夫

脳細胞は減る一方だとか、魚を食べないとDHAが不足するんじゃないかとか、気になっていたのだけど、脳細胞は減っても大丈夫なくらい十分にあるし、DHAは全く摂らなくても次の世代で不足する程度なんだとか。

確かに、脳細胞が減ったとかDHAが不足したとかで、生活に支障が出たなんて話は聞いたことがないからねぇ。

 

海馬―脳は疲れない (新潮文庫)

海馬―脳は疲れない (新潮文庫)