イスラエルとユダヤ人に関するノート/佐藤優

中東の辺りのゴタゴタの理由を知りたくて読んでみたのだけど、そんな中学生でも知っていそうなことを解説してくれるような本ではなかった。

佐藤さんはイスラエルを支持する考えのようだけど、それについて自分がどう思うかというと、事情がよく分からないので結局よく分からないままだった。

(子供の感想より酷いかもしれないけど、取り繕っても仕方がない。)

内容を見返すと何か思うところがあるかもしれないけれど、図書館で借りたものをもう返してしまって、断片的にしか内容を理解できていなかったので、あまり思い出せない。

 

私は、この方の本は何冊か読んで、とても面白いと思った本とそうでない本があるのだけど、違いは何だろう。

面白かったのは自伝的な内容で、そういうものはストーリーがあるから先が気になって面白いのだろうか。

逆にあまり楽しめなかったものは、説明的な内容のもの?ただ単に、内容が分からないと楽しめないだけかもしれない。

その人にとって面白い本かそうでないかは、何冊も読んでいるうちに冒頭を読んだだけで分かるようになるというけど、一体いつになったらその能力が身につくのだろう。

 

イスラエルとユダヤ人に関するノート

イスラエルとユダヤ人に関するノート

 

 

それをお金で買いますか/マイケル・サンデル

チケットの転売、売春、臓器売買、人身売買、等々。お金と交換するのは何だか嫌悪感を感じるけれど、それらは良いのか悪いのか、という話。

良しとする根拠は主に二つあり、一つは売買する人達の自由だということ。こういう、「個人の自由」という考え方をリバタリアニズムと呼ぶことは、以前読んだこの方の本「これから正義の話をしよう」にも書いてあった。

もう一つの考え方は、売りたい人がいて買いたい人がいて、双方の利益が一致するのだからOKということ。

そう言われればまあそうだねえとは思うけれど、すっきりしない。でもその理由は説明がしづらい。なぜかというと、尊厳とか品性とか、人によって基準があいまいなものが理由だから。

それとは別に、悪いと考える理由としてもう少し分かりやすいもの。売りたいと思うのが個人の自由だとしても、どうしようもない事情があってお金が必要な場合、それは自由ではなくて強制ではないかということ。

 

他人に迷惑をかけなければ個人の自由という、いわゆるリバタリアン的な考え方をよく見かけるようになった気がする。

私自身もそういう風に考えることはあるけれど、どこか腑に落ちないことがある。

それはあくまでも一つの考え方であって、正解というわけでもないからなんだな。

 

それをお金で買いますか――市場主義の限界

それをお金で買いますか――市場主義の限界

 

 

脳を鍛える/立花隆

著者の立花隆さんが東大で講義した内容を本にまとめたものらしい。

大雑把に、前半はいわゆる文系の話、後半は理系の話だったように思う。

この本に文系と理系それぞれの知識が偏りすぎているのは良くないよねと書かれているのだけど、確かに、私が文系だからなのか、後半の話は難しかった。前半の話は大体わかる話だと思ったけど、理系の人は前半の話をよく分からないと思うのだろうか?

大学の教養科目でとった何かの講義で聞いたエントロピー増大の法則は覚えていたのだけど、これが熱力学の第二法則なんていう重大なものだとは知らなかった。(もしかするとそう教えてもらったから覚えているのかもしれないけど、記憶にない。)

私がぼんやり覚えていたエントロピー増大の法則のイメージは「何でも拡散する」だったのだけど、これは「熱」力学の法則なので、エントロピーが増大するとはエネルギーの質が低下することであり、もう少し具体的に言うと仕事をする能力が劣化するということだそうな。

生命であればそれは死で、形あるものは何でも崩れ去るのがこの世の法則だとしても、生き物が生まれることはその法則に逆らうことなので、別の法則が要るはずだという話が面白い。

形作られては崩れて・・・を繰り返すこの世の仕組みを決めているものは何なんだろう。

とこの辺りまでは面白かったけど、かの有名な相対性理論が出てきたあたりからついて行けなくなった。

まあ、文系とか理系とか関係なく、このくらいは知っていないと、ということを私は知らなくて、これじゃいかんなということが分かったということで良しとしよう。

 

脳を鍛える―東大講義「人間の現在」 (新潮文庫)

脳を鍛える―東大講義「人間の現在」 (新潮文庫)

 

 

私のマルクス/佐藤優

著者である佐藤さんの、高校~大学(院)時代の話。主にその頃を共に過ごした友人や先生達について。

マルクスとかキリスト教とか、私はこれまで生きてきてほぼ考えたことがない種類の話なので、説明してもらっても殆ど意味がわからない。

それから大学内で何やら暴力的な事件が発生するのも、どういう状況なのかいまいちよく分からない。

時代のせいなのか?それとも生きている世界が違うのか?

生きている世界が違うと言えば、佐藤さんは高校一年生の頃に東欧の方に一人で旅行に行ったのだそうな。

しかも思い立ったのは中学三年の頃だというし。

私が同じ年の頃にそんなことは絶対に思わなかったな。この差は一体何なのか。

やっぱり、生きている世界が違うということなのか。

というわけで。

この方の本は他にも何冊か読んだことがあって、どれも面白いと思ったけど、これは残念ながら理解不能な点が多すぎてあまり楽しめなかったというのが率直な感想。

分かる範囲で思ったことは、こんなに若い頃から学びたいことが明確で、だからこそ専門家である大学の先生からも色々吸収できて、その賢さが羨ましいということ。

私も大学に通っていた頃は周りにすごい人が沢山いたかもしれないのに、受け入れる側の私の器ができていなかったので、殆ど何しに行ったのかという感じだな。

そう考えると、大人になってから大学に通ってみるのもいいかなあと思った。

私が学生の頃、子育てが落ち着いたくらいの女性が同じ学年にいたけど、その気持ちは分からなかったな。

 

私のマルクス (文春文庫)

私のマルクス (文春文庫)

 

 

国家なる幻影(上/下)/石原慎太郎

石原さんが国会議員をしていた頃の話しあれこれ。

ちなみに最近石原さんが豊洲移転問題で出てきたから読んでみようと思った、のではなく、偶然その前に買ってあった。

この本に東京都知事をやっていた頃のことは書かれていない。

 

石原さんは割と最近まで東京都知事をやっていたはずだけど、政治に関するニュースなんて気にかけるようになったのはごく最近なので、何か印象に残っていることがあるかというと特にない。

というわけで、この方は政治家であり作家であるということ以外はほとんど何も知らない状態で、この本を読んだ。

読み始めて思ったことは、文章が読みづらい。例えば「○○だが、○○だが、・・・」と一文がずるずる続く。

作家さんが書く文章なのに読みづらいとは、何か私が悪いのだろうか。とにかく読みづらかった。

 

内容はそれなりに面白いと思って読み進めたのだけど、感想を書こうとするとあまり出てこない。

全体的に人を見下したような言い方が多かったという印象。この人はこういう人なんだなと思った。

日本が核攻撃を受けたらアメリカが報復してくれるか、ということについて、アメリカがリスクを負ってまで他国のためにそんなことをするわけがないと書いてあって、確かにねと思った。

 

国家なる幻影〈上〉―わが政治への反回想 (文春文庫)
 

 

 

話を聞かない男、地図が読めない女/アラン・ピーズ+バーバラ・ピーズ

この本は、何年か前、と言ってももう大分昔だと思うけど、話題になっていたような気がする。

男女で脳の働きに違いがあり、それぞれ得意なことや苦手なことがあるよ、ということについて書いた本。

 

ずっと前に読み始めて、あまり目新しい内容がなかったからかいまいち読む気になれず、途中で読むのを止めてしまった。

やっと最後まで読んだけど、数か月放置していたせいで何が書かれていたか覚えていないし見直す気もないので、読んだという記録だけ残しておく。

 

「男らしく」とか「女らしく」とか育てられたからではなく、男と女で脳の作りに違いがあることはあるらしいけど、実感としては性差よりも個人差の方が大きいと感じる。

確かに時々、男性/女性特有かなあと思うことはあるけれど。

 

話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く

話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く

 

 

キャパになれなかったカメラマン(下)/平敷安常

米ABC放送のカメラマンだった著者が、ベトナム戦争の取材中に出会った人々などについて書いた本。

 

10年もこの戦争を取材し続けただなんて。途中で嫌になったとは一言も書いていなかったけど、思わなかったんだろうか。それとも書けなかったんだろうか。

彼の仲間たちもむしろ意欲的に取材に向かっているように書かれている。やりがいがストレスを上回るのかもしれない。もしくは向いてそうな人が配置されるのか。

 

著者は南北ベトナムのどちらの敵でも味方でもないけれど、取材仲間が戦闘に巻き込まれて亡くなった時、殺した側を敵と認識し、憎しみを抱いたと書いている。

そう考えると、当時ベトナムに住んでいて戦闘に関わっていない人達も相手側が憎いわけではなく、国が戦争を始めてしまって巻き込まれて、迷惑でしかないだろうなあ。

 

戦争に行っていた兵士がPTSDに悩まされるという話を聞いたことがあるけど、ジャーナリストも同じような症状に悩まされる人がいるらしい。

戦後、著者の仲間に上記の件も含めたアンケートを行ったところ、そのうちの一人が「ジャーナリストは兵士と違って逃げようと思えば逃げられるので、兵士とは緊張感が違う(だから自分はそういう後遺症には悩まされなかった)」というようなことを書いていたそうだ。

そうは言っても、戦場からなかなか脱出できなかったという話もこの本に書かれているし、ジャーナリストから何人も死者が出ているので、命懸けの仕事だと思う。

10年もそんな場所で平静を保ち続け、生き残ったということは、すごいことなのではないかな。