走ることについて語るときに僕の語ること/村上春樹

村上さんは、都合でどうしてもできない日はあるとしても、ほぼ毎日欠かさず走り、年に1回はフルマラソン(42.195キロ走る)に参加し、マラソンに気が向かなくなったらトライアスロンにも参加しているそうな。

ちなみにトライアスロンとは、泳いで走って自転車に乗るというのはこの本を読んで知った。

毎日走る時に走りたくないと思うこともあるし、フルマラソンを走り切った後はもうやりたくないと思うそうだけど、それでもこの本が書かれた時点では20年欠かさず走り続けている。

自分がやりたいと思ってやることだから、向いていることだからやれるんだと言っているけど、私は何かそんな風にやれることがあるだろうか。

 

走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること

 

 

外務省に告ぐ/佐藤優

腹が立つやらやる気が出ないやらで困ったので、佐藤さんの本を読んで癒されることにした。

この内容で癒されるというのもどうかとは思うけど、これが当たりで、少し元気になった。ありがとうございます。

内容は以前読んだ他の本と被る部分もあるけど、全部覚えているわけではないので丁度良い。

 

ああ、そうだよねぇーと思うから癒される。特に今は以下のような辺りが響く。

 

一般論として、人間は、好きなこととできることが違う

 自分が今そういう状況だと思っているのだけど、それはそこから抜け出す努力をしていないからだと思っている。でも「一般論として」ということは大体の人が当てはまるということ?本当に?佐藤さんは何でそう思うのだろう。

でもそういうものなんだということであれば、じゃあそれを頑張るしかないのかなという気もしてくる。

 

組織人なんだから言われたことはやらなくてはならない

 そうなんですよ。そういうのが嫌で組織には属さないようにしているのに、そうは言っても組織と全く関わらずにお金を稼げるほどの能力はなく、結局頼まれたら同じようなことをやっていて・・・これってどうにかならないのかと思っているところ。

 

それにしても、佐藤さんの本の表紙はヤバい人っぽい写真が使われていることが多い。わざとやってるんだろうけど。

この本もヤバいけど、「知の教室」の表紙、あれは思わず笑ってしまうくらい怖かった。

 

外務省に告ぐ

外務省に告ぐ

 

 

ジェノサイド/高野和明

何年か前に読んだ「13階段」が面白かったので、この本の発売当初、絶賛されていて気にはなった。けど、その後に読んだ「グレイヴディッガー」が私にはいまいちだったので、同じ人が書いたものがどれも面白いとは限らないよなあと思って読まないままになっていた。

読んでみて、これは文句なしに滅茶苦茶面白いと思ったけれど、最後の2割くらいの辺りで急につまらなくなってしまった。何故かというとミックが、それまでの引っかかる言動について何の説明もなく死んだから。私はこの人にも何か救いがあると思っていたので、何もないまま死んでしまったのでがっかりした。

イエーガーが想像したような生い立ちなんだろうけど、あくまでもただの想像で、4人のうちの一人に選ばれた理由も分からないままだ。誰からも愛されることがなかったなんて、何も知らないのに勝手なことを言うなよと思った。

この人も、可哀そうな子供の1人だったんじゃないのか。武器を持って向かってくる子供は殺せないけど、仲間は殺していいのか。

彼は相手が子供だとはいえ、戦争中に、十分な殺傷能力を持って向かってくる相手に打ち返しただけだ。私情は入っていたかもしれないけど。

それまで仕事はきちんとこなしてきていて、一緒に戦ってきた仲間に打ち殺されなければならないようなことは何もしていないと私は思う。

もちろん現実的には、誰にでも救いがあるわけではなく何にでも理由があるわけではなく、誰もがかっこよく戦場で死ねるわけではない。あの状況でイエーガーに冷静になれというのも無理な話かもしれない。

だけどちょっと扱いが酷すぎやしないかと思った。

そして、その直後に死んだギャレットとの扱いの差。

それもこれも、人の愚かさを露にするための演出なのかもしれないけど。

 

ジェノサイド

ジェノサイド

 

 

マネーロンダリング/橘玲

漫画以外でノンフィクションを読むのは何年振りか。

面白くてあっという間に読んでしまったけど、私にはあまり後に残るようなものはなかったかなあ。

一つ思ったのは、自分がお金に執着するタイプに育たなくてよかったなということ。今の世の中、お金さえあれば大抵のことは叶うけど、大金が欲しいという気持ちはよく分からない。身の丈に合わないものは身を亡ぼすと思うから。そういう風に考えられるのは、多分幸せに生きてきたということなんだろう。

 

それにしても、登場人物皆おかしな人ばかりだ。主人公の秋生は、最初は面倒なことに巻き込まれた一般人だと思っていたけど、この人も割とまともじゃないというか、私には何を考えているのかよく分からない人だった。ヤクザの黒木の方がよほど筋が通っているように思う。けどそこは黒木の言うように、

生身の人間はいつもそんなふうにわかりやすく動くわけじゃねえ。そこらの犬コロだって、殴ったり蹴ったりされても飼い主の足元をキャンキャンいって舐めるじゃねえか

 ということか。

 

マネーロンダリング

マネーロンダリング

 

 

てんでんこ未来へ

3.11の東日本大震災の日、岩手で起こったことをまとめたもの。

ふるさと納税でいただいた。

 

「てんでんこ」とは、「各自」「めいめい」の意味で、「津波の際は、人に構わずてんでばらばらに逃げろ」という教えとして1896年の明治三陸津波のころから三陸地方に伝えられてきた。

多くの人が誰かを助けに行き、迎えに行くなどして犠牲となった。

 他人を見捨てるということではないのだけど、いざという時に各自がそういう行動をとれるかというと、難しい。

 

大丈夫だろうと思って家に残った人、戻った人も多く亡くなったそうだ。

近頃はちょっとした大雨でも早く帰宅するようになってきた。大したことないのに、何て言っている人もいるけど、後で大したことなかったならそれでいいのだから、私は大丈夫だなんて思わないでさっさと帰るようにしている。

 

被害が落ち着いてきた頃、長期の避難場所として使う予定だった施設に避難してしまって亡くなった方も沢山いたらしい。

安全な場所だと思って行ったら・・・。

避難訓練なんて面倒だと思ったけど、いざという時のためにきちんとやっておかないといけないなあ。

 

 

来世は他人がいい(1)(2)/小西明日翔

大阪のヤクザの孫・吉乃が主人公で、吉乃が東京のヤクザの孫(正確には違うけど)・霧島の家で婚約を前提に暮らすことになるところから話が始まる。

霧島がぶっ飛んでる人でそこが面白いんだけど、まともな人かと思っていた吉乃も実はそうでもない。

1巻の腎臓売る話で、煽られたくらいで臓器売るか?と思ったけど、2巻の翔真のセリフ(以下に引用)で腑に落ちた。この子もやっぱちょっと普通の感覚じゃないんだわ。

自分のルールとかプライドとか捨てなアカンくらいやったら命捨てても構わんと思ってるでしょ

吉乃は、自分なんてどうせどんなに真面目に生きてもろくな死に方をしないんだと言っていて、ヤクザの家に生まれたというだけでそんなことあるか?と思うのだけど、少なくとも本人はそう思っているからそういう生き方なんだろう。

翔真も、自分はろくな人間じゃないから人一人くらい殺しても構わないなんて言っている。昔薬をやっていたくらいでろくな人間じゃないなんて個人的には思わないけど、まあ本人はそう思っているらしい。

(そもそも「昔薬やってたくらい」じゃないのかもしれないけど。)

 

それにしても、腎臓売っても400万にしかならないのかあ。短期間でその金額を稼ぐと考えると他にはなかなか手段がないかもしれないけど、一生背負うのに400万じゃ割に合わない気がする。腎臓が一つ減るだけなら、実生活にはほぼ支障がないかもしれないけど。

 

以前からpixivで見て、続きがあったら読みたいと思っていた。読んで良かった。

春の呪いも読んだけど、私はこっちの方が断然好きだ。

翔真が出てきてより一層楽しい。(ちなみに、吉乃と翔真が出会った頃の話「二人は底辺」も読んだ。)

早く続きが読みたい。

 

二人は底辺 (ZERO-SUMコミックス)

二人は底辺 (ZERO-SUMコミックス)

 

心と脳/安西祐一郎

この本は、心や脳を情報処理システムとみなす考え方をもとに書かれている。

「心」とタイトルがついていると心理学の本かなと思うけれど、こういう分野を認知科学と言うそうな。

コンピュータの情報処理の仕組みが、人の情報処理の仕組みの解明に伴って発展した部分があったり、その逆もあったりで、面白いなあと思う。

コンピュータは人の手によって作られたのだから、人の仕組みを模している部分があってもおかしくないと思うけど、何となく人とコンピュータは遠い存在のように思っていたので、意外な感じがする。

 

コンピュータの学習の仕組みの一つに、人の脳のニューロンをモデルにしているものがあり、具体的にどんな仕組みなのか、他にも人の仕組みを模しているものがあるのか、ということに興味があった。

この本のページをめくってみたら、その辺りの説明で登場する単語が見えたので読んでみたのだけど、やはりそういう方面の専門書ではないので、欲しいと思っていた情報を得るにはちょっと遠かった。