ドキュメンタリーは嘘をつく/森達也

ドキュメンタリーという分野のテレビ番組や映画を作ることを生業にしてきた森さんが、ドキュメンタリーとはどんなものか、ということについて語っている。

 

私が、森さんが書いた本を読むのはこれで2冊目だ。テレビ番組や映画を観ることや作ることに特別な興味はないし、森さんが撮ったものは(テレビ番組は分からないけど少なくとも映画は)今のところ観たことがないけれど、森さんが書いた文章は好きだと思う。

その理由は多分、以前も書いたかもしれないけど、森さんが考えたことが沢山書いてあるからだ。その内容が正しいかどうかや、自分の考えと合うかどうかは、私は割とどうでも良いのではないかな。何があったか や、考えたことでも結論だけだと、あまり面白く思えない気がする。結論よりは、どうしてその結論に至ったか とか、結論はなくてもあれこれ考えた内容が書いてある方が嬉しい気がする。

 

最近、どうもフィクションは面白く思えなくなってしまったような気がして、しばらく読んでいない(なぜか活字限定で)。森さんも言っている通り、ノンフィクションだからと言って全て事実とは限らないとか、書き手のフィルタを通して書いてある以上主観が入らないなんてありえない等は分かっているのだけど、全部が全部架空の出来事だと思うと何だかなあと思ってしまう。

でも森さんがこの本で、フィクションだって書き手が世の中を切り取って描いた世界だと言っているのを見て、なるほどそう考えれば面白いかもしれないと思った。いやそもそも私にとって、事実かどうかが興味の分かれ目かどうかも、まだよく分かっていないのだけど。まあフィクションと言える分野に限定しても、本なんて世の中に読み切れないほどあるのだから、優柔不断な私には絞ったくらいでちょうどいいかもしれない。

 

ドキュメンタリーは嘘をつく

ドキュメンタリーは嘘をつく