日本インターネット書紀/鈴木幸一
本の概要
著者は日本で初めてのISP(インターネットサービスプロバイダ)であるIIJを創設した鈴木幸一さん。
お金が集まらないため、国からの許可が下りず、IIJが一年半もサービスを開始できなかったことや、当初電話網を利用していたインターネットを、専用の通信インフラで実現しようとして設立したCWCが会社更生法の適用に至ってしまったことなどについて書いている。
この本を読んだ理由
本が目に留まり、中身をペラペラと見たら少し縁のある人の名前が書かれていたので。
それから、自分もインターネットの普及とともに生きてきた世代であり、興味があったから。
思ったこと
この国のインターネットは、解体寸前のビルに間借りした小さな会社からはじまった
この本のサブタイトル?として上記のように書いてあるのだけど、日本で初めてのISP会社が、本当にその通りの状況から始まったとは・・・。
今私たちがインターネットを使えているのはIIJが最初に日本で頑張ってくれたおかげだし、私なんてこの分野に無関係ではない仕事をしている人間なのに、IIJという会社名を知らなかったのはどういうことなのだろう。私が無知なだけ?
日本はIT化の波に乗り遅れた
日本はITで出遅れたという話を聞いたことがあり、何でだろうと思っていたけど、この本で、アメリカで爆発的に普及し始めていたインターネットについて、日本では全く理解が得られなくて普及が遅れた様子が書かれていて、なるほどなあと思った。
何でだろう。アメリカの情報は入ってきていただろうに。使ったことのないものは、どう役に立つのか想像が難しいということか。
今やあらゆる分野に影響を与えているものなのにと思うと、当時それを予見していながら、なかなかサービスを開始できない状況で奮闘していた鈴木さんの歯がゆさが伝わってくる。
自分を能天気だと言えるのは羨ましい
鈴木さんは自身の性格を「暗くなれない性格」だと言っている。羨ましい。実際にどうかはさておき、そう思っていた方が、どんな時でも明るい気持ちで過ごせるだろうな。
私もちょっと、そういう風に思ってみようかなあ。
インターネットは戦争がきっかけで開発された
インターネットは戦争のために開発されたという話は聞いたことがあるけれど、この本では2つの側面があったと書かれている。
一つは、インターネットが通信の遮断に強いことから、軍事利用を目的としていたという側面。
もう一つは、情報の送受信が一方的でなくなれば(情報統制ができなくなれば)ベトナム戦争のような悲劇が減るのではということで、戦争に反対する側面。
前者についてはどのくらい役に立っているのか詳しく知らないけれど、後者については確かに、誰でも情報を発信できるようになり、それを誰でも見られるようになったなあ。まあ、いいことも悪いこともあるだろうけど。
ここでもニューロンが
AIの機械学習はニューロンの仕組みを真似ているという話だけれど、インターネットの通信の仕組みもニューロンから発想を得て作られたんだと書いてあった。知らなかった。
コンピュータの世界に生物の仕組みを持ち込むと、いい感じになることが沢山あったんだな。他にも何かあるのだろうか。