ジェノサイド/高野和明

何年か前に読んだ「13階段」が面白かったので、この本の発売当初、絶賛されていて気にはなった。けど、その後に読んだ「グレイヴディッガー」が私にはいまいちだったので、同じ人が書いたものがどれも面白いとは限らないよなあと思って読まないままになっていた。

読んでみて、これは文句なしに滅茶苦茶面白いと思ったけれど、最後の2割くらいの辺りで急につまらなくなってしまった。何故かというとミックが、それまでの引っかかる言動について何の説明もなく死んだから。私はこの人にも何か救いがあると思っていたので、何もないまま死んでしまったのでがっかりした。

イエーガーが想像したような生い立ちなんだろうけど、あくまでもただの想像で、4人のうちの一人に選ばれた理由も分からないままだ。誰からも愛されることがなかったなんて、何も知らないのに勝手なことを言うなよと思った。

この人も、可哀そうな子供の1人だったんじゃないのか。武器を持って向かってくる子供は殺せないけど、仲間は殺していいのか。

彼は相手が子供だとはいえ、戦争中に、十分な殺傷能力を持って向かってくる相手に打ち返しただけだ。私情は入っていたかもしれないけど。

それまで仕事はきちんとこなしてきていて、一緒に戦ってきた仲間に打ち殺されなければならないようなことは何もしていないと私は思う。

もちろん現実的には、誰にでも救いがあるわけではなく何にでも理由があるわけではなく、誰もがかっこよく戦場で死ねるわけではない。あの状況でイエーガーに冷静になれというのも無理な話かもしれない。

だけどちょっと扱いが酷すぎやしないかと思った。

そして、その直後に死んだギャレットとの扱いの差。

それもこれも、人の愚かさを露にするための演出なのかもしれないけど。

 

ジェノサイド

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