複雑さを生きる/安冨歩

この本を読んでいたらコンピュータ関係の専門用語と思われる*1言葉がちらほら出てきたので、著者は何を専門にしている人なんだろうと思ってWebで調べてみると、経済学者と書かれていた。

でもこの本の中で著者は自身のことを「複雑系科学者」と言っている。複雑系とは何ぞやと思ってこれまたWebで調べてみると、

相互に関連する複数の要因が合わさって全体としてなんらかの性質(あるいはそういった性質から導かれる振る舞い)を見せる系であって、しかしその全体としての挙動は個々の要因や部分からは明らかでないようなもの

複雑系 - Wikipedia

だそうな。

物事は分解したほうがシンプルになって分かりやすい場合もあるけど、分解してしまうと意味が分からなくなってしまうこともあるから、そういうものはバラさないで考えましょうということのようだ。

複雑系科学」という言葉もあるらしい。

 

この本は、複雑な問題に対処するための具体的な方法を書こうとしたものであるとのこと。

その一つとして、ハラスメントについて書かれている。

人と人とのコミュニケーションは、お互いに手探りで築いた距離感や空気感のようなものを前提としているけれど、それをぶち壊すのがハラスメントであると、この本では言っていると思う。

「自分は良いと思っていても相手が嫌がったらハラスメント」というのがよく言われるハラスメントの定義だと思うけど、この本では、人を支配しようとする意図があるものとか、もう少し狡猾なものをハラスメントと呼んでいるように感じた。

それが正しいハラスメントの定義なのかどうか分からない。個人的には、「嫌だと思ったらハラスメント」で良いと思った。その方が声をあげやすいと思うので。

ハラスメントに対抗するには相手にやめろと断固たる姿勢を示すことだと書いてあるけど、それで目が覚めるなら良い方で・・・。

ああでも私も自分ではまともな人間だと思っていても、気が付かないうちにそういうことをしているかもしれない。気を付けないと。

 

複雑さを生きる―やわらかな制御 (フォーラム共通知をひらく)

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*1:私が思い違いをしているだけで、元をたどると違うとか、他の分野でも使われる言葉なのかもしれない。