死ねばいいのに/京極夏彦

突然見知らぬ人が訪ねてきて、亡くなった、しかも殺された人のことを尋ねられたらペラペラ話す気にはならないだろう。しかも訪ねてきた相手は失礼だ。本人は「ものを知らないから態度が悪かったら謝る」と言うのでそこは何とか汲もうとはするけど、快く話す気になんてなれない。挙句の果てに死ねばいいと言われるなんて、ないわ。

訪ねてこられた人達は、何かしら良くない点はあるにしても、それなりに頑張って生きている人達だ。できないんじゃなくてやらないだけだとか、それが簡単にできないから皆苦しむ。正論かもしれないけどコイツに説教されたくはない。

態度は悪いし仕事はすぐクビになる、端的に言ってどうしようもないケンヤが正しいことを言って、相手が言い負かされたかのように話が進むけれど、ケンヤはやっぱり変な奴だったのか。私には理解しづらい。そんな理由で、人を。

自分のことばかり話すのも、不幸だ不幸だと言いながら、死ねばと言われたら死にたくないと言うのも、それが普通の人だと確認していたのか。

 

死ねばいいのに

死ねばいいのに