他者という病/中村うさぎ

中村さんは、体が硬直して痛みが走る謎の病気にかかり、ある日突然意識を失ってしまったそうだ。そのまま亡くなるか、生き延びたとしても意識が戻らない可能性が高いと言われていたけれど、奇跡的に回復し、元通りには動けないけれど介助があれば何とか暮らせるようにはなった。 

死にかける前に、薬の副作用で人格が変わってしまったので、薬の量を減らした後になってから、当時書いた文章を見てどう感じるかを書き加えたのが本書。

 

死ぬ時の感覚は、眠りに落ちる時と同じなのだと思う。中村さんが死にかけた時は、突然ブラックアウトして、あとは完全な闇(実際は闇ということすらも分からないのだろうけど)だったそうだ。人によっては何らかの映像を見るようだけど、眠るときに夢を見たり見なかったりするのと似ている。多分、生きているあいだには経験したことがないような特別なことは起こらないんだろう。

他者という病

他者という病