殺人犯はそこにいる/清水潔

 ジャーナリストでありこの本の著者である清水さんは、「日本を動かす」テレビ番組を作るため、過去の未解決事件を調査するうちに、無関係と思われていた4件の幼女誘拐事件が同一犯による犯行の可能性に気付く。またそのうち1件の犯人とされ、刑務所で服役中の菅家さんは冤罪であることも。

清水さんの働きにより、菅家さんは17年の刑務所生活を抜け出すことができた。そして真犯人は・・・。

 

何もしていないのに犯人だと言われて、無実を訴えても全く聞いてもらえなかったらどうしたらいいのか。何時間も休ませてもらえず怒鳴られ続けたら、耐えられないかもしれない。それに耐えても耐えなくても、結論ありきなのだから成す術がない。と考えていたら恐ろしいし腹が立った。

菅家さんのご両親は、菅家さんが刑務所に入っている間に亡くなってしまったそうだ。後から謝ってもらっても取り返しがつかない。

日本の警察や検察が正しく機能しないことがあるという話は時々聞く。人間のやることだから仕方がないことだとは思うけど、自分が同じような目にあわないようにするためにはどうしたらいいか。とにかく事件に関わらないよう、危うい物には近づかないようにするしかない。けどそれも限界がある。菅家さんだって疑われるようなことは何もしていないのに。

 

真犯人については、このままうまく行ったらいいのにと思ったけれど、そうはいかないか。残念。

殺人犯はそこにいる (新潮文庫)

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