孤舟/渡辺淳一
人の気持ちを想像できない人になりたくないなあ。
歳をとるにつれて頭が固くなっていったりもするのだろうし。そういうのはどうしたら避けられるだろう。仕方がないのかな。
自分の娘と同じくらいの歳の女性と、友達じゃなく仲良くなりたいと思う気持ちはよく分からないけど、そういうものなんだろうねえ。
高い食事を奢って、断れない状況を作って家(しかも遠い)に連れ込むだなんて、私がやられたら「イヤーッ!」て叫んでしまうな。心の中で。
弥勒世/馳星周
生涯を賭けるほどの憎しみを抱かずに生きられることに、感謝するしかない。
愛子がああなった時、あまりにも理不尽で、私にもその一部が少し分かったような気もした。でもそれは本当に少しだけで、経験した人にしか分かるはずがない。
そしてあの最後。こんなに酷い結末があってたまるか。まるで悪い夢でも見ているようだ。
私は女になりたい/窪美澄
既婚者でもないのに、男性と付き合っただけで、息子から嫌いだと言われたり、雇い主に暴行されたり、何でこんな酷い目にあわなければならんのだ。
息子はまあ、色々と複雑な思いがあるかもしれないけど、一緒に暮らしているわけではなく、たまに帰ってくるだけなのに、帰りづらいとかごちゃごちゃ言うのはどうなのか。
雇い主のあの人は、裏切られただなんて完全に私情が入っていて、知らんがな。契約違反だというならそれなりの対応をすればいいだけなのに。乱暴をしていい理由にはならんぞ。訴えてやれ!
そして周りの人もぶーぶー言う。年齢差について、本人たちが気になるのは分かるけど、他人がそんなに気になることかな。ちょっとびっくりはするだろうけど。
ドレスハウス/室井滋
家を買うとしても、こんなに面倒臭いことをするくらいなら、私は建て売りかマンションの方がいいかな。思い入れを持ってこだわった作りにすると、後から不満が出てきた時に、「私が」失敗したという気持ちになりそう。最初からそう作られていたなら仕方がないで済むけど。
花の降る午後/宮本輝
あとがきを見ると、皆が幸せになる結末にしたと書かれていた。確かに後味の悪い終わり方ではなかったけど、登場人物たちの色々な選択について、本当にそれで良かったのかなと思う。どれかを選ばなければならない場合、選ばなかった方の未来については結果が分からないので、選んだものを良しとするしかないのだけど。
わたしは誰も看たくない/小原周子
何年も前のことを根に持って、大人になっても嫌がらせをする姉やら、娘の将来を諦めさせてまで家業を継がせる親やら、うんざりする家だ。
小夜子がけしかけたのも良くはないけど、穂乃果が愚かだったのでは。起こった出来事は気の毒だけど。恨む気持ちが忘れられないのは仕方がないとしても、それほど憎い相手ならば関わらない方が心穏やかに暮らせると思うけどな。ことあるごとにそこそこ行きづらい実家に出かけて行って、なんやかんやまくし立てて、よくエネルギーが持つなあ。それに、こんなことを繰り返していたら自分のことが嫌になりそうだ。
延命措置は始めてしまったら止められない思っていたけど、食事は絶てるのか。何でだろう。その、簡単に止められないと分かっている延命措置を、親が突然倒れたという状況で、小夜子に苦労させるためだけにやる判断をするとは。小夜子が憎いと言っているけど、実家の人間全員憎いんだな。