恵美と一緒に/浦川裕子

娘さんを亡くした母親の手記。

娘さんはどうも付き合っていた男の人と一緒に大学内で自殺したようなのだけど、あまり詳しいことは書かれていない。著者の浦川さんは娘さんが亡くなった理由について疑問を持っていたようで、警察にもそのように伝えたけれど、状況から見て自殺とのこと。離れて暮らしていたこともあり、詳しい理由は分からないのだと思う。

 

突然大切な人が亡くなってしまったらつらいし、周りの人もつらいだろうなと思う。

浦川さんは、おかしな振る舞いをした会社の同僚にとても腹が立ったと書いていて、私もその内容を読む限りは何でそんなことを?と思った。だけど、大抵の人は娘を亡くした母親に今こそ嫌がらせをしてやろうなんて考えないと思うので、その人も良かれと思ってやったことが失敗だっただけなのかもしれない。

 

それにしても、会社の同僚に何百万円もの借金を申し込むってどういうことだろう。

少し古い話で、会社の同僚と家族ぐるみの付き合いもあったようなので、そういう時代だと会社の人とお金の貸し借りなんかもするのだろうか。

恵美と一緒に 

恵美と一緒に 

 

 

亜玖夢博士のマインドサイエンス入門/橘玲

ここに書かれていることのいくつかは、将来実際に起こることかもしれないと思う。

色々とえぐい話が続くのだけど、最後は予想外にいい話で終わり、うっすら涙ぐんでしまった。

 

 

言ってはいけない格差の真実/橘玲

差別であるかどうかの判断基準は、相手が不快に思うかどうかではなく合理的に説明できるかどうかであり、それが世界標準の考え方である、とのこと。

差別と区別は違うよねと思っても、じゃあ何が差別で何が区別なのかというと自分の中できちんと定義できていなかった。なるほど。

 

日本人の働き方は、いずれ欧米企業のようにスペシャリスト(専門職)とバックオフィス(事務)に分かれていくだろうとのこと。

スペシャリストは、収入は成果主義で青天井だが雇用の保証はなく、日本で「高度プロフェッショナル労働制」で想定される働き方で、バックオフィスは職務と労働時間で給与が決まる同一労働同一賃金の働き方だ。

スペシャリストは「会社の看板を借りた自営業者」と書かれていて、自分がまさにこれなのだけど、だから残業代が支払われないのは当たり前とはどういうことだろう。自営業だからそもそも残業の概念がないということかな。

 

言ってはいけない格差の真実【文春e-Books】

言ってはいけない格差の真実【文春e-Books】

 

 

評価経済社会/岡田斗司夫

農業革命、産業革命に続く第3の変化の波、情報革命によって、私たちの価値観は大きく変わりつつある。
各時代で主流となるものの考え方はそれぞれだけれど、その根底にあるのは「沢山あるものはパーッと使って、少ないものは大事にする」ということだ。
時代によって「沢山あるもの」と「少ないもの」が変化することにより、その時代の価値観が変わる。

 

私たちはこういった大きな時代の流れに知らないうちに巻き込まれているんだなと思うと、何となく恐ろしいような気もするけれど、良いとか悪いとか考えても、どうしようもないことなんだろうなあ。

 

評価経済社会・電子版プラス

評価経済社会・電子版プラス

 

 

亜玖夢博士の経済入門/橘玲

 これ絶対酷い目にあうんだろうなあと思って嫌な気分になりつつも、怖いもの見たさで続きが気になってしまう。

相談に乗ってあげる、願いをかなえてあげると言いながら、無邪気に人を陥れるこの人達は一体何なのか。世の中は仕組みは自業自得や因果応報ではなく、理不尽だということか。

亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫)

亜玖夢博士の経済入門 (文春文庫)

 

 

臆病者のための裁判入門/橘玲

 海外から日本に来て働いている友人がトラブルに巻き込まれたため、著者の橘さんが裁判のサポートをすることになった。被害の内容は大したことがないのだけど、過去に例がない珍しい案件だったため、散々たらい回しにされたというお話。

 

面白いと思って読んだけれど、こういう話を聞くと裁判なんてやりたくないと思う。割に合わない。そもそも、トラブルに巻き込まれたくない。でも自分がどんなに気を付けたとしても、相手が悪質なケースは避けようがなく、運が悪いとしか言いようがない。

臆病者のための裁判入門

臆病者のための裁判入門

 

 

笹の舟で海をわたる/角田光代

 主人公の左織は現在60代で、幼い頃、戦争のため親元を離れて疎開した経験を持つ。そこでの出来事は、いじめがあったり、食べ物が満足に食べられなかったりと、つらい記憶として残っている。

20代の頃、左織には全く記憶がないが、疎開先で左織によくしてもらったという風美子に声をかけられる。やがて風美子は左織の義理の妹となり、お互い夫を亡くした現在でも付き合いがあるのだが、左織は風美子の思う通りに生かされてきたように感じて、内心恐ろしく思っている。

 

風美子は人を操作する能力に長けた人間で、実は左織が思っている通り、周りの人間をいいように操っているのではないかと、はらはらしながら読んだ。

実際、人を操るのが上手い人間はいるし、それが意図的でなかったとしても、他人を巻き込むタイプの人や、巻き込まれやすいタイプの人はいると思うので、上に書いたようなことがあったともなかったとも言えるのだろう。

 

幼い頃のほんの短い期間の出来事によって、大人になっても、そのずっと後の人生まで捕らわれ続けるというのは、つらいものだなと思う。

私は左織のような特別つらい出来事は経験していないので、そういうことはないけれど、それでももう少し若い頃は、子供の頃のいろんな出来事を引きずっていて嫌だったな。

笹の舟で海をわたる

笹の舟で海をわたる