2017-01-01から1年間の記事一覧

夜と霧/ヴィクトール・E・フランクル

かの有名なアウシュヴィッツの強制収容所に収容され、生還した精神科医の方が書いた本。 冒頭にアウシュヴィッツと他の類似の強制収容所で何が行われたか解説があり(その部分はヴィクトールさんが書いたものではない)、その後にヴィクトールさんが経験したこ…

A/森達也

森さんのドキュメンタリー映画「A」の撮影時の様子などについて書かれた本。 「A」はオウムに対し擁護も批判もしないつもりで作られた映画だったけど、世論はオウムを批判するのが当然で、批判していないなら擁護だと考える人がいて、特に日本国内ではあまり…

イベリコ豚を買いに/野地秩嘉

イベリコ豚がどんぐりを食べて育つという話を、私は初めて聞いたのだけど、日本でイベリコ豚が流行った頃、そういう宣伝文句が謳われていたらしい。 けれど実際は、ドングリを食べて育ったイベリコ豚はとても高価で、日本に出回ったイベリコ豚の殆どはドング…

(日本人)/橘玲

日本人には他の国の人にはない特徴があるかのように言われることがあるけれど、実際はどうなのか、日本人の特徴から他の国の人にも共通の特徴を削ぎ落して、残ったものが何なのか見てみましょう、という話。だと思ったのだけど。 最初の方は、よくよく他国の…

ドキュメンタリーは嘘をつく/森達也

ドキュメンタリーという分野のテレビ番組や映画を作ることを生業にしてきた森さんが、ドキュメンタリーとはどんなものか、ということについて語っている。 私が、森さんが書いた本を読むのはこれで2冊目だ。テレビ番組や映画を観ることや作ることに特別な興…

「イスラム国」の内部へ/ユルゲン・トーデンヘーファー

ドイツのフリージャーナリストである著者が、ISに入国?するまでと、IS内で取材を行って帰国するまでの10日間の様子を書いている。 アメリカや西側諸国が完全に善で、ISが絶対悪とは思わない。戦争を行う者には双方に正義があると思って読んだけれど、少なく…

資本主義はなぜ自壊したのか/中谷巌

アメリカに端を発する新自由主義、グローバル資本主義の考え方は、稼いだ者が勝者という考え方である。この考え方を推し進めると、貧富の差や環境破壊に繋がる。日本は島国であるという特性上、人との信頼関係に重きを置き、平等な社会を築いてきたのだけど…

死刑/森達也

本書は、森達也さんが、確定死刑囚、弁護士、刑務官(死刑執行も職務に含まれる)、被害者の遺族、死刑制度廃止派の人、死刑制度存置派の人等に会い、日本の死刑制度の是非について述べた本である。 私は何年か前に読んだ13階段という本で刑務官の苦悩を知り、…

甦るロシア帝国/佐藤優

佐藤さんは、崩壊前のソ連に外交官として勤務していた頃に、モスクワ大学で神学について講義をしていた。本書は、その時の教え子の学生や、周辺の知識人たちとのやり取りを通して、ソ連崩壊の理由について考えたことを述べた本であるとのこと。 自壊する帝国…

紳士協定/佐藤優

佐藤さんが外務省の語学研修のためイギリスに留学した際に出会った、ホームステイ先家族の末っ子グレンが主な登場人物。 若手の外務省職員と12歳の男の子は、お互いの勉強を助け合うという紳士協定を結んだ。 イギリスは階級の移動が日本よりずっと小さいら…

大世界史/池上彰・佐藤優

池上さんと佐藤さんが、最近の世界情勢について対談した内容をまとめた本。 世界史とタイトルに入っている理由は、現在の世界情勢を読み解くには過去の歴史を知る必要があるから。私もそう思い、少し世界史を勉強したいと考えている。 この本が発行されたの…

美瑛 光の旅/中西敏貴

北海道に美瑛という所があり、その辺りの景色などを撮った写真集。 ふるさと納税のおかげで、このような高尚なものが手元にやってきた。 実は北海道、これまで特に興味を持ってはいなかったのだけど、最近北海道出身者の知り合いができ、少し興味を持つよう…

世界の歴史1 人類の起源と古代オリエント

最近、YouTubeで世界史の講義を聴いている。多分どこかの予備校の講義の録音だと思うけど、何があったかだけでなく、「その出来事がなぜ起こったか」や「それが起ったことにどんな意味があるか」を説明してくれるので面白い。 それで世界史を勉強し直したい…

ぐでたまの『資本論』

資本論という本のタイトルは聞いたことがあるけど、読んだこともなければどんな内容かも知らなかった。 この本を読んだ感じでは、働くことに関する価値観について書いたものということかな。 この本は、資本論の本文から抜き出した文章に、分かりやすい意訳…

先生と私/佐藤優

佐藤さんの両親と、中学生の頃に出合った塾の先生達の話。 時系列的にはこの本の内容よりもう少し後になるが、主に大学生の頃に出合った先生達について書かれた私のマルクスはあまり面白いと思えなかった。でもこの本は国家の罠と同じくらい楽しんで読んだ。…

ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか/NHKスペシャル取材班

ヒトの進化を、心の面から考えた本。人類の心が、現在のような心にどのように変化してきたか、人間と他の動物の心の違いは何か、など。 この本の内容がNHKスペシャル(テレビ番組)で放送されたはずだけれど、映像と文章では表現できるものが違うと思うので、…

野中広務 差別と権力/魚住昭

私は部落差別というものがあることをいつ知ったのだったか。社会人になってからだったかもしれない。少なくとも私の知る限り、身近にそういうものはなかったので。 場所によって違うのかもしれないが、野中さんの出身地の部落は、江戸時代に人や動物の死体処…

将国のアルタイル 1~19巻/カトウコトノ

一応架空の国だけど、実際の歴史も織り交ぜた世界を舞台にした、戦争と政治の話。 ちょうどつい最近読んだ本の内容と重なる部分があって、興味深く読んだ。政治面の話はまさに国家の謀略でいうところのインテリジェンスの話だし、それから自壊する帝国に帝国…

国家の謀略/佐藤優

佐藤さんがSAPIOという雑誌で連載していた内容をまとめた本。 当初は(佐藤さんの)公判への影響と外務省からの妨害を考慮して、ペンネームを使って記事を書いていたらしい。 全体的に面白かったのだけど、短い記事がいくつも収められているので、どこがと言う…

凶悪/「新潮45」編集部編

新潮45編集長である著者のもとに、ある死刑囚が、まだ明るみになっていない自身の余罪を告発したがっているという話が舞い込む。 それらの事件の首謀者は「先生」と呼ばれる人物であり、いくつもの犯罪を犯したはずの彼は未だ娑婆にいるという。 死刑囚・後…

自壊する帝国/佐藤優

佐藤さんが外務省職員としてモスクワに勤務していた時に、ソ連が崩壊した。 その頃に出合った、ソ連崩壊を画策する人達などについてのお話。 ソ連は複数の国が集まってできていたけれど、それらが個別の国になったということらしい。 最後の方のゴタゴタでそ…

ぼくらの頭脳の鍛え方/立花隆・佐藤優

立花さんと佐藤さんがそれぞれお勧めの本を200冊くらいピックアップし、その本を紹介する理由などについての対談の内容をまとめた本。 読んだことがないのだから本当のところは分からないけれど、正直に言ってここで紹介されている本の殆どは私が読んでもあ…

イスラエルとユダヤ人に関するノート/佐藤優

中東の辺りのゴタゴタの理由を知りたくて読んでみたのだけど、そんな中学生でも知っていそうなことを解説してくれるような本ではなかった。 佐藤さんはイスラエルを支持する考えのようだけど、それについて自分がどう思うかというと、事情がよく分からないの…

それをお金で買いますか/マイケル・サンデル

チケットの転売、売春、臓器売買、人身売買、等々。お金と交換するのは何だか嫌悪感を感じるけれど、それらは良いのか悪いのか、という話。 良しとする根拠は主に二つあり、一つは売買する人達の自由だということ。こういう、「個人の自由」という考え方をリ…

脳を鍛える/立花隆

著者の立花隆さんが東大で講義した内容を本にまとめたものらしい。 大雑把に、前半はいわゆる文系の話、後半は理系の話だったように思う。 この本に文系と理系それぞれの知識が偏りすぎているのは良くないよねと書かれているのだけど、確かに、私が文系だか…

私のマルクス/佐藤優

著者である佐藤さんの、高校~大学(院)時代の話。主にその頃を共に過ごした友人や先生達について。 マルクスとかキリスト教とか、私はこれまで生きてきてほぼ考えたことがない種類の話なので、説明してもらっても殆ど意味がわからない。 それから大学内で何…

国家なる幻影(上/下)/石原慎太郎

石原さんが国会議員をしていた頃の話しあれこれ。 ちなみに最近石原さんが豊洲移転問題で出てきたから読んでみようと思った、のではなく、偶然その前に買ってあった。 この本に東京都知事をやっていた頃のことは書かれていない。 石原さんは割と最近まで東京…

話を聞かない男、地図が読めない女/アラン・ピーズ+バーバラ・ピーズ

この本は、何年か前、と言ってももう大分昔だと思うけど、話題になっていたような気がする。 男女で脳の働きに違いがあり、それぞれ得意なことや苦手なことがあるよ、ということについて書いた本。 ずっと前に読み始めて、あまり目新しい内容がなかったから…

キャパになれなかったカメラマン(下)/平敷安常

米ABC放送のカメラマンだった著者が、ベトナム戦争の取材中に出会った人々などについて書いた本。 10年もこの戦争を取材し続けただなんて。途中で嫌になったとは一言も書いていなかったけど、思わなかったんだろうか。それとも書けなかったんだろうか。 彼の…

ファミリー・シークレット/柳美里

作家の柳美里さんが、息子さんにしてしまうこと、境遇の似た女性へのインタビュー、自身が受けた虐待について書いた本。 親子のやり取り 出だしは、柳美里さんと息子さんとのやり取りから始まる。 息子さんの言動が明らかに異常なのに、まず最初にそこを心配…