小児救急/鈴木敦秋

あまりの多忙さのため、職務を果たせないことに絶望して自ら命を絶った小児科の医師、夜間救急で十分な処置を受けられずに亡くなった子、不適切な診断で亡くなった子など、小児科医療の悲劇にまつわる医師・患者の遺族達を主人公とした話。

 

小児科の医師不足については以前から聞いたことがある。

この本に書かれている例を見ると、自分が今まで生きてこられたのは運が良かっただけなのかもしれないという気がする。

 

自分は大人だし小さな子供はいないので、どちらかといえば医師の方の話に共感するのだけど、忙しすぎてやるべきことがきちんとできなくなるのはつらいよなあと思う。

私の仕事は人の命に係わることではないし、忙しいと言ってもこれほどではないけれど、それでもストレスを感じるのだから、医師のストレスなんてどれほどのものかと思う。

 

大事な人を亡くした人たちは、同じようなことが二度と起こらないようにと願うけれど、人の体は機械的に診断できるものではなく、実際はミスを完全になくすことはできないだろうから、難しい。

けれどせめて、体制の問題による事故は無くなるといい。

 

小児救急 (講談社文庫)

小児救急 (講談社文庫)