それをお金で買いますか/マイケル・サンデル
チケットの転売、売春、臓器売買、人身売買、等々。お金と交換するのは何だか嫌悪感を感じるけれど、それらは良いのか悪いのか、という話。
良しとする根拠は主に二つあり、一つは売買する人達の自由だということ。こういう、「個人の自由」という考え方をリバタリアニズムと呼ぶことは、以前読んだこの方の本「これから正義の話をしよう」にも書いてあった。
もう一つの考え方は、売りたい人がいて買いたい人がいて、双方の利益が一致するのだからOKということ。
そう言われればまあそうだねえとは思うけれど、すっきりしない。でもその理由は説明がしづらい。なぜかというと、尊厳とか品性とか、人によって基準があいまいなものが理由だから。
それとは別に、悪いと考える理由としてもう少し分かりやすいもの。売りたいと思うのが個人の自由だとしても、どうしようもない事情があってお金が必要な場合、それは自由ではなくて強制ではないかということ。
他人に迷惑をかけなければ個人の自由という、いわゆるリバタリアン的な考え方をよく見かけるようになった気がする。
私自身もそういう風に考えることはあるけれど、どこか腑に落ちないことがある。
それはあくまでも一つの考え方であって、正解というわけでもないからなんだな。
- 作者: マイケル・サンデル,Michael J. Sandel,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 早川書房
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