甦るロシア帝国/佐藤優
佐藤さんは、崩壊前のソ連に外交官として勤務していた頃に、モスクワ大学で神学について講義をしていた。本書は、その時の教え子の学生や、周辺の知識人たちとのやり取りを通して、ソ連崩壊の理由について考えたことを述べた本であるとのこと。
自壊する帝国を読んだときに、ソ連は何で崩壊したんだ?いつの間に崩壊したんだ?と思った記憶があるが、多分あちらにはそういうことはあまり書いてなかったんだな。
私のとってこの本の内容は、興味深いと思う一方で、馴染みのない考え方が度々登場するのでいまいちしっくりこない部分も多々あり、というところだった。まあこの方の本を読むときにはよくある。
けれどよく分からないことも、こうして何度か触れているうちに、何となく分かるようになってきた気はする。
根本的な原因はさておき、ソ連が崩壊した直接的な原因は、ソ連に含まれていた国が次々と独立したことだとのようだ。国・・・民族の問題と言ってもいいのかな。
民族とは何かと改めて定義しようとすると、何と言ったらいいのだろう。佐藤さんは何と言っていたっけ。日本に住んでいると多分大半の人はそうだと思うけど、あまり意識することがない問題だ。だけど一つの国の中に複数の民族が住んでいることもあり、そういう国に住んでいる人たちはきっと、「自分は○○人だ」という意識を強く持っているのだね。
それから一つ印象に残ったのは、とても優秀で容姿も整っているけれど、少し特殊な地域に生まれた女性が、親兄弟を養うために外国人の愛人になってしまったという、ちとショックな話。不憫でならない。