絶望の裁判所/瀬木比呂志

元裁判官が語る、裁判所は腐っているよ、尋常じゃない裁判官が沢山いるよ、というお話。

聞くところによると検察やら外務省やらも腐っているという話だし、私の狭い観測範囲を見ても、エリートの中にはびっくりするようなヤバい人が混じっているし、組織というものはどこでも腐るってことなんだろうと思う。

 

瀬木さんは、特に裁判官の中に精神的に未熟な人が多い原因として、日本のキャリアシステムに問題があると言っている。学生がすぐに裁判官になってしまい、以降は閉鎖的な裁判所の中でしか過ごさないので、欠点が矯正される機会がなく、それどころか増幅されていってしまうと。

でもそういうシステムを変えようとしても、既得権益を持った人たちが現状を死守しようとするのでどうしようもない。

私たちは、とにかく事件や事故には極力あわないようにと祈るしかないな。

 

それにしても、瀬木さんの例えが面白い。顔色を窺って同じ方向ばかり見ている様子を「ヒラメのよう」と言ったり、最も多い裁判官のタイプを、トルストイの小説の主人公イヴァン・イリイチに似ているということで「イヴァン・イリイチタイプ」と言ったり。

機会があったら瀬木さんの他の本も読んでみよう。

 

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

絶望の裁判所 (講談社現代新書)