大泥棒/清永賢二

 泥棒のプロが書いた日記を、犯罪行動生態学の専門家である著者、犯罪予防論の専門家、(日記を書いたのとは別の)泥棒のプロがチームを組んで読み解き、犯罪者の視点などを述べたのがこの本。

ちなみにこの本では泥棒のプロのことを、そこら辺にいる泥棒と区別して「賊」と呼んでいる。

 

解読に加わった泥棒のプロの人は、小さい頃に父親が戦争で亡くなり、義父からは暴行され、ご飯もろくに食べさせてもらえないので、12歳の時に家を飛び出したそうだ。その後泥棒の師匠(日本人ではなかったらしい)に出合って色々教えてもらい、プロになっていったらしい。

そんな生い立ちを聞くと、そりゃあもう生きていくためには、泥棒でも何でもするしかないよなあと思ってしまう。

 

この人は、殺しは絶対にしない方針だと言っている。もちろんすべての泥棒がそんな心がけをしているわけではないのだけど、それでも基本的には泥棒側も怯えているので、もし鉢合わせてしまったら、向かっていくのではなく気付かないふりをするとか、逃げ道を用意した方が良いらしい。

そうなのか。鉢合わせてしまったらこちらも殺す気で立ち向かわないといけないかなあなんて思ったりもしたのだけど。

それから、こんなところから入るの?と思うような所からも入られるので(なんだかこう書くとゴキブリみたいだ)、素人が注意するにも限界がある気はするけど、窓を開けっぱなしにするのはやっぱり論外だと。

まずいかなと思いつつ夏場は結構開けっ放しにしていたので、ちょっと怖くなった。

大泥棒 ―「忍びの弥三郎日記」に賊たちの技と人生を読む

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