暇と退屈の倫理学/國分功一朗

人間は何万年もの間移住生活を続けてきたが、定住した途端頭を使う機会が減った。その分、文化など色々なものを発達させることができたけど、命の危険にさらされることも食べるものに困ることもなくなった人々は、退屈に耐えられない。

だから娯楽を与えられると、それに飛びついてしまう。それが産業に都合が良いだけのものであっても。例えば大して機能が変わっていないのに頻繁にバージョンアップされる携帯電話をその都度買い替えてしまうとか。

仕事に打ち込むのも、遊びの予定を埋めるのも、退屈になるのが不安だからかもしれない。

 

ここのところ私も、退屈して困っている。

仕事を一生懸命やらないとやっていけないような状態だった頃、こんなのは嫌だと思っていたけれど、正直充実していた。けれど年月を経てそこまで頑張らなくてもよくなると、段々と退屈だと感じるようになってしまった。

何か夢中になれるものが欲しい。色々新しいことを試してみるしかないだろうと思って、少しずつ動いてはいるのだけど、いつ出会えるのやら。

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)