帝の毒薬/永瀬隼介

主人公の羽生は、いわゆる731部隊に所属していた。下っ端のため、直接実験に関わることはないけれど、現地でも、戦争が終わって日本に戻ってきても、何だかんだで色々と巻き込まれてしまう。(主人公だから・・・。)

 

戦争を経験した人が当時のことをあまり語りたがらない、という話を聞くことがあるけれど、私もその立場だったらきっと、こんなつらいばかりの思い出は話したくないと思うだろう。

人を棒で殴り殺すか、さもなくば激戦地に行くか選べと言われたらどうするか。やっと日本に帰れると思ったら、ほんのちょっとした出来事で帰れなくなってしまう仲間の遠ざかる姿とか。安全な世の中でぬくぬくと生きている私にはきつすぎる。

帝の毒薬

帝の毒薬

  • 作者:永瀬隼介
  • 発売日: 2012/03/07
  • メディア: 単行本