礼賛/木嶋佳苗

著者の木嶋さんが何をした人かは知らずに読んだ。警察車両に乗っている場面から始まるので、何らかの犯罪を犯した人で、その犯罪の経緯がこれから語られるのだと思って読んだけれど、違った。でも、自分の人生には起りえない、他人の奇妙な人生は面白かった。読み終えてからインターネットで検索して、ああこの人かと思った。

 

こんなに多くの人と付き合うなんて、私だったら疲れてしまって無理だ。この辺りの生き方が根本的に違うんだろうなあ。まず、他に席が沢山空いているのに相席して良いかと言ってくる、見知らぬ男性と仲良くなるような(それは必ずしも悪いことではないと思う)、そういった隙は私にはない。場合によってはその場限りで話くらいはするけど、人間関係が続くことはまずない。

この人自身のことを差し置いても、母親は事故で片足切断、父親は事故死、知り合いがこの本に登場しただけでも2~3人が若いうちに病死というだけでも、どうしてこんなに色々な出来事がこの人の周りで起こるのかと不思議な感じがする。

 

礼讃 (角川書店単行本)

礼讃 (角川書店単行本)