アグルーカの行方/角幡唯介

1845年、フランクリン隊というイギリスの探検隊が、アジアに抜ける航路を求めて北極に向かったが、129人の隊員は散り散りになり、結果的に全員がその地で命を落とした。

著者の角幡さんは、フランクリン隊が通ったとされるルートをたどることを目的として、北極の冒険家である荻田さんと共に北極の地に降り立った。

 

北極の氷の上を歩くのがどんな感じとか、不毛地帯がどんな風景とか、どの辺りを通っているとか、うまくイメージできないのがもどかしい。GoogleEarthで書かれている辺りを検索しながら読むともっと面白かったかもしれない。

 

零下40度にもなるような場所を、重い荷物を持って毎日歩いていると、一日5000カロリーも摂っていても常に飢えを感じて、脂がギトギトの食べ物が世界で一番おいしいものを食べていると思うほどおいしく感じるらしい。経験してみたいようなしたくないような。釣って食べたトラウトがすごくおいしかったとか、何かの鳥の卵が変わった味だったとか、ちょっとうらやましい。

食事がおいしいというのは多分全体のほんの何割かの良いことで、飢餓感は相当辛いらしいし、何十日もかけて北極を歩くだなんて、過酷すぎて大半の人は耐えられないだろう。だけどそういう体験に対して、大変さよりも充実感の方が上回る人達が一定数いるらしい。仕事が大変な時、嫌だ嫌だと思っていても、退屈な時に思い出すとあの時は充実していたなと思うこともあるので、分からなくもないけども。