世界しあわせ紀行/エリック・ワイナー

ジャーナリストのエリック・ワイナーさんが、幸せとは何か、どうすれば幸せになれるのか、その答えを求めて、幸福度が高いと言われている国々(一部は幸福度が低い国)を旅した記録。

幸せについてただ一つの答えが出ることなんて期待はしていない。でも幸せについて考えるいくつかのヒントがある。

 

この方は4年間日本に住んでいたことがあるそうだ。それで時々日本の話が出てくる。

モルドバでは礼儀正しくしても報われないので、誰も礼儀正しくしないのだそうだ。そこで日本が引き合いに出される。

かつて私は、おそらく世界で最も礼儀正しい国で四年間暮らしていたことがある。それは日本だ。日本人は何かにつけて「お願いします」や「ありがとう」、「ゴメンナサイ」を連発する。日本で暮らしているあいだ、頭がおかしくなってしまいそうだった。

どうやら私は日本人を誤解していたようだ。礼儀正しさが社会の歯車を滑らかに動かす潤滑油であることを、彼らは直感的に知っているのだ。それがなければ社会の歯車は互いにきしみ、すり減り始めてしまう。

私は、お礼は何かにつけて言うくらいでもいいと思っている。つまり上記の後半に引用した内容に同意する。でも前半に引用した内容を見て、礼儀を尽くされて当然と思っているのはそういう文化に染まっているからで、実は過剰な期待なのか?とも思った。

最近「お願いします」や「ありがとう」を言われないことでイライラすることがあったのだけど、言われて当然と思っているのが間違いなんだろうか。

 

所々に差し挿まれるジョークが面白くて何度も笑った。この方の他の本もいずれ読んでみよう。

 

世界しあわせ紀行

世界しあわせ紀行

 

 

橘玲の中国私論/橘玲

橘さんは中国の専門家ではないので、本書はあくまで一介の旅行者の記録であるとのこと。

 

最初に、廃墟の写真が沢山登場する。廃墟と言っても何年も前に建てられたぼろぼろの建物ではなく、先進的なデザインだったり夜にはライトアップされるようなきらびやかな建物ばかり。

それらは最近建てられたもの、というか作りかけのまま放置されているものも多数あるらしい。

ヒェーッ、すごい無駄!土地は沢山あるから構わないんだろうけど。日本じゃ考えられない。

実は日本にも似たようなものがあって、私が知らないだけということもある?いやいや、日本は狭いし・・・。

 

面白い人を紹介してあげると言われて、いわゆる高等遊民を紹介されるって、つまり橘さん自身が高等遊民のような暮らしをしているということなんだろうなあ。

つまり橘さんは、ご自身の小説の登場人物のように、ちょっと仕事をしてポンとお金を稼いで、後は遊んで暮らしていると。

小説を書いたことも書こうと思ったこともないので的外れかもしれないけど、小説を書くということは、実体験なり取材したことなりをいかに咀嚼するかということなんだろうなあ。絵を描くときに、まずものを見れていないと描けないのと一緒だね多分。

 

橘玲の中国私論---世界投資見聞録

橘玲の中国私論---世界投資見聞録

 

 

タックスヘイヴン/橘玲

マネーロンダリング、永遠の旅行者に続いて読んでみた。(話が続いているわけではないけど、脇役で前作と同じ人が出てくる。)3作の中では、これが一番面白かったかもしれない。

誰か最後に、実はこの人悪い人でしたという後味の悪い終わり方をするんじゃないかと心配しながら読んだけど、そんなことがなくて良かった。

 

何でも知ってる古波蔵さん。(変わった苗字だなと思ったけど、結構簡単に変換できた!)ゲームに勝つには人より先んじるしかないんだなんて言っていたけど、そんなこと普通の人にはできないんですがどうしたら。

この人死ぬんじゃないかと最後までヒヤヒヤした。

 

最後、柳が輝いていてよかった。それにしても、若い頃の苦労は買ってでもしろなんて話があるけれど、この人は、あんな地獄みたいな苦労をしたがために金の亡者になってしまって・・・。苦労なんてしない方がいいんだよ。私はお金の苦労を感じさせなかったことで親に感謝している。

 

タックスヘイヴン TAX HAVEN

タックスヘイヴン TAX HAVEN

 

 

SQ 生き方の知能指数/ダニエル・ゴールマン

以前同じ人が書いた「EQ こころの知能指数」の姉妹版とのこと。

人間関係には共感力が重要だというお話。つまり思いやりが大事だということ。

 

他人は自分を映す鏡という言葉があるけれど、人は無意識のうちに相手の気持ちを汲み取って同調する。

最近、どうも腹立たしい人がいてつい冷たい態度で接してしまっていたのだけど、たとえ相手から仕掛けてきたのだったとしても、こちらが嫌な態度で接すれば相手も嫌な態度で返してきて悪循環になってしまうので、どちらかが(私が)それを断たなければならないと思った。

実際、少し接し方を変えたら大分改善したと思う。

何で私が折れないといけないんだよとも思うけど、まあその方が私も気分よく過ごせるし、仕方ない。

 

SQ生きかたの知能指数

SQ生きかたの知能指数

 

 

あとは死ぬだけ/中村うさぎ

中村うさぎさんについては、どんな方か知らなかったし、書かれた本を読んだこともなかった。

破天荒な方だということと以前ライトノベルを書いていたということは、聞いたことがあったようななかったような。

 

この本を読んで、中村さんの他の本も読んでみたくなった。

自己の内面を言語化するのに長けた方のようで羨ましい。私もその能力をもっと磨きたい。

本を読んでいて、ああー、そうそう!と同意するところが多々あった。

私も、私の神は私だと思う。

あとは死ぬだけ

あとは死ぬだけ

 

十五の夏(上)(下)/佐藤優

佐藤さんが高校一年生の夏休みを丸々使って、東欧諸国を一人旅した時の話。

 

とにかく食べ物がおいしそうに書かれている。日本には色々な種類の食べ物があって、日本の食べ物は全般的においしい、というような話も聞くけれど、日本では食べられないおいしいものも海外には沢山あるんだろうなと思った。

例えばサラミは日本にあるものとは全く違うと書いてあった。サラミなんて日本にいたら特に食べようという気にもならないけれど、本当においしいサラミは食べたくなるようなサラミなのかもしれない。

(ちなみに私が行った数少ない海外旅行の経験では、ここでなければ食べられないと思うようなものを食べた記憶はない。多分そういうものがあるところに行かなかったからだと思う。)

 

高校一年生で東欧の一人旅に快く送り出してもらえることとや、勉強したいこと、行きたい大学、就きたい職業について悩むことなど、違う世界に住んでいる人のように感じる。

私の場合、やりたいことが特になく勉強さえしていればよかったので、勉強が遅れるなんて悩むことはなかったし、将来やりたいこともなかったから行き先について悩むこともあまりなかった気がする。

 

本の表紙の写真は15歳の佐藤さんなのだろうけど、こんなに人相が変わる人もちょっと珍しくないかと思う。色々あったんだな・・・。

 

十五の夏 上

十五の夏 上

 
十五の夏 下

十五の夏 下

 

欲望について/ウィリアム・B・アーヴァイン

自分が何を望んでいるのか分からない時が度々ある。望むものが分かればそれを満たすように努力するのに、分からないから嫌な気分のままだ。自分が何を望んでいるのかをできるだけ正確に知る方法がないかと思って、この本を読んでみた。

 

まず欲望がどのように発生するかというと、殆どの欲望は無意識のうちに発生する。私達は自分の意志で望み、何故それを望んだのか理由を説明できると思うかもしれないけれど、理由なんてものは後付けらしい。情動が欲望を発生させ、知性がそこに、あたかも自分の意志でそれを望んだかのような理由をつける。

また、情動が引き起こした欲望に、知性が欲望を叶えるための手段を提供する。情動が手段を承認し、行動に移す。

情動が引き起こす欲望は人の生存や繁栄にもとづくものなので、知性は拒否するのが難しい。でも情動は知性が形成した選択を拒否することがある。だから快・不快の感情(情動)を押さえつけるのは難しく、意志の力(知性)は弱い。

ならばしたいと思ったことはごちゃごちゃ考えないでその通りにやるのが一番正解に近いということか。

ちなみに情動がなくなれば常に論理的な選択ができるようになるかというとそうではなく、脳に傷を負って情動が働かなくなった人は、何も選べなくなってしまうらしい。

 

というわけで、欲望は無意識のうちに発生するので、私たちはその理由をいつも正確に知れるわけではない。後付けの理由は間違う可能性がある。

私は自分の意志で合理的に考えて選択したと思った時に満足していたけど、それらしい理由を考え付くのが上手くできただけかもしれない。

私の「自分の望みを知りたい」という望みについてはどうすればいいかというと、どうやらあまり簡単な解決策はないようだ。そういうことなら仕方がない。

 

欲望について

欲望について