2019-01-01から1年間の記事一覧

平成史/片山杜秀・佐藤優

ああ、こういうことあったなあと懐かしい気持ちになった。 佐藤さん、作家になった時に潰れた作家の研究をしたとかさすが。それから、ドラマまで何でも見ていてすごい。 1人では世界を幸せにすることはできないけど、1人の行動で戦争のきっかけを作ることは…

天ぷらにソースをかけますか?/野瀬泰申

日本の食文化は大体何でも西側と東側で特徴が分かれるらしい。ということは聞いたことはあったけれど、実際に色々な食べ物、食べ方について地図にして見ると、本当にほぼ綺麗に東西で分かれていて面白い。 タイトルにもなっている天ぷらにソースをかけるとい…

なぜ倒産

割と最近倒産した会社の、倒産の理由をまとめた本。 うまく行っている会社がうまく行っている理由はそれぞれなのであまり参考にならないが、潰れる理由は大体法則があるので参考になるのだそうな。 会社を経営するってのは大変なことだ。従業員を背負う重圧…

暇と退屈の倫理学/國分功一朗

人間は何万年もの間移住生活を続けてきたが、定住した途端頭を使う機会が減った。その分、文化など色々なものを発達させることができたけど、命の危険にさらされることも食べるものに困ることもなくなった人々は、退屈に耐えられない。 だから娯楽を与えられ…

私はいったい、何と闘っているのか/つぶやきシロー

主人公はすごく気が利く人なんだけど、ちょっとうまくいかないこともある。でも大体幸せそうだ。 エッセイかと思ったら小説だった。面白かった。 作者は今どうしているのかな。 私はいったい、何と闘っているのか 作者: つぶやきシロー 出版社/メーカー: 小…

刑務官佐伯茂男の苦悩/小笠原和彦

刑務官とは拘置所で死刑囚の世話をする人で、死刑を執行することもある。何とも気が滅入りそうな仕事のように思うけれど、この仕事に就く方はどういう経緯で就くのだろう。 もうすぐ死ぬと分かっている人間を相手にすることや、死刑の執行ボタンを押すことは…

日本奥地紀行/イザベラ・バード

明治維新の数年後、イザベラ・バードさんが一人の通訳を連れて日本の奥地を旅した記録。 イザベラさんは旅をした当時多分それほど若くないだろうし、言葉も通じないし、よくもまあ一人で何日も旅をしようという気になったなと思う。どこも観光地ではないから…

心はあなたのもとに/村上龍

妻子持ちの投資家西崎と元風俗嬢の加奈子。加奈子は1型の糖尿病で、加奈子が亡くなるところから話が始まり、西崎は加奈子のメールを読み返しながら、加奈子との日々を追想する。 村上龍さんは有名な作家さんだけど、私はこの方の作品を今回初めて読んだ。 西…

謝るなら、いつでもおいで/川名壮志

何年か前に、小学校6年生の女の子が同級生の女の子を殺した事件があった。被害者の女の子の父親は毎日新聞の記者で、その部下だった川名さんがこの本の著者である。 当事者間で、些細な喧嘩のようなものがあったという話は事件当時から挙がっていたけれど、…

悲素/帚木蓬生

和歌山のカレー事件を元にした小説で、大学教授である主人公が、和歌山県警からの依頼で被害者たちを診察し、砒素中毒の診断をしていく。 カレー事件の方ばかり印象に残っていて殆ど忘れていたのだけど、そう言えば犯人と言われたあの人は、カレー事件より以…

大泥棒/清永賢二

泥棒のプロが書いた日記を、犯罪行動生態学の専門家である著者、犯罪予防論の専門家、(日記を書いたのとは別の)泥棒のプロがチームを組んで読み解き、犯罪者の視点などを述べたのがこの本。 ちなみにこの本では泥棒のプロのことを、そこら辺にいる泥棒と区別…

死に山/ドニー・アイカー

50年ほど前に、ロシアの雪山で9人の学生が遭難し全員が亡くなったが、原因が不明なままとなっていた。 著者はアメリカ人のジャーナリストでこの件には何の関わりもないが、原因を探ろうと関係者にインタビューをしたり、彼らが遭難した場所に行ってみるなど…

眠れ、悪しき子よ(上下)/丸山健二

会社を辞め、田舎に移り住んだ55歳のオッサン(失礼)の、テンション上がったり下がったりする日々を綴った小説。 会社勤めの退屈な日々から一転、田舎に移り住んだ途端に、自身の出生の秘密が分かったり、親が死んだり兄弟が死んだり殺人者に出会ったりと、波…

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

2009年の7月、北海道のトムラウシ山を登るツアーが行われたが、ガイドを含む18名中8名がなくなった。原因は低体温症だったそうだ。 自分が山に登る予定はないし、身の回りで山に登る人はいないけれど、何となく興味を持ったので読んでみた。 人間の深部体温*…

放蕩記/村山由佳

村山さんの半自伝だそうで。主人公の夏帆が村山さんということだね。 夏帆は母親と気が合わず子供の頃に苦しんだが、大人になった今でもうまく付き合えない。そんな母親の痴呆が始まって・・・というお話。 正直、母親がものすごく酷いとまでは思わなかった…

日本人の値段/谷崎光

日本のもの作りが落ちぶれつつあるような話はよく聞くし、電気屋さんなどに行くと確かにそう感じる。 中国や韓国のものも日本の技術者の流出で少しずつ良くなってはいるのかもしれない。 でも日本から中国に出ていった技術者の方々曰く、一部の技術だけ入手…

桶川ストーカー殺人事件ー遺言/清水潔

「殺人犯はそこにいる」が面白かったので、同じく清水さんが書かれたこちらも読んでみた。面白かった。記者さんだけあって、文章が上手いということもこの本の面白さの重要な要素になっていると思う。 小松和人はただの悪い奴ではなくて、ちょっと精神を病ん…

殺人犯はそこにいる/清水潔

ジャーナリストでありこの本の著者である清水さんは、「日本を動かす」テレビ番組を作るため、過去の未解決事件を調査するうちに、無関係と思われていた4件の幼女誘拐事件が同一犯による犯行の可能性に気付く。またそのうち1件の犯人とされ、刑務所で服役中…

ぼくは猟師になった/千松信也

猟師と聞くと、世間から離れて一年中山の中で暮らすとか、マタギのような生活をイメージするけれど、著者の千松さんは普通の家に暮らし、普段は仕事もするなど現代的な生活をしつつ、猟の期間中だけ山に入って獲物を捕るそうだ。 ちなみに千松さんは銃ではな…

使える武術/長野峻也

何かあった時のために武術について知っておきたいと思っていたので、読んでみた。と言っても、そういう何かにあうことが一生のうちに一度あるかないかだろうけど。そう、何か武術を習ってみようかと思うこともあるけど、役立つ機会はないかもしれず、お金と…

ヤノマミ/国分拓

著者は数人のロケメンバーと共に、計150日間ヤノマミの集落で暮らした。本書はその記録。ヤノマミとは、アマゾンの奥地で殆ど文明に触れることなく暮らしている人々のこと。 常識や善悪は、自分の身の回りの人達がそう言っているからそうだと思い込んでいる…

ユニクロ潜入一年/横田増生

文芸春秋の記者である著者は、この本を書くより以前に「ユニクロ帝国の光と影」という本を書き、ユニクロから訴えられたが勝訴。その後ユニクロから、と言うより柳井社長から取材を断られ続けたが、柳井社長の、悪口を言っている人はうちの会社で働いてみて…

くらべる世界

色々なものの国による違いを、写真とともに比較した本。 あやとりと折り紙は、日本の文化だと思っていたけどどちらも海外にもあるそうで驚いた。 フランスではじゃんけんの手の形が4種類あるそうで、形は違ってもじゃんけんは色々な国でやっているということ…

日本の問題/ピオ・デミリア

日本で暮らすイタリア人ジャーナリストの著者が、東京で東日本大震災を経験し、その後福島に取材に行った際に見たものや感じたことをまとめたのが本書。 本の内容とは直接関係がないけれど、日本のデモは信号で立ち止まったりなど大人しすぎると指摘されてい…

他者という病/中村うさぎ

中村さんは、体が硬直して痛みが走る謎の病気にかかり、ある日突然意識を失ってしまったそうだ。そのまま亡くなるか、生き延びたとしても意識が戻らない可能性が高いと言われていたけれど、奇跡的に回復し、元通りには動けないけれど介助があれば何とか暮ら…

戦禍のアフガニスタンを犬と歩く/ローリー・スチュワート

著者のローリーさんが何故アフガニスタンを徒歩で歩こうと思ったのかよく分からない。自分だったらまずとてもできそうにないので、やりたいとも思わないのだけど。だってローリーさんは何度も、死んでもおかしくない状況になっていた。けど、この方にとって…

くらべる値段

同じものだけど、値段が違うものが並んでいたらどれを買うべきかと悩むことはよくある。値段の差が付くポイントは何だろうとこの本を読んでみたら、やっぱりそのものを作るのにかかる手間によるのだそうな。あとは、作るのに使う材料の値段。 となると、例え…

パンのペリカンのはなし/渡辺陸

ペリカンは東京の浅草にあるパン屋さんで、食パンとロールパンのみを売っている。この本の著者はペリカンの4代目の店主だそうな。 今は通販をやっていないそうなので、気軽に行ける距離に住んでいない私はここのパンを多分一生口にすることはないのだろうけ…

シルクロード・路上の900日/大村一郎

著者である大村さんの旅行記。西安からローマまでを、何と徒歩で。 言葉が通じないことや、まともに泊まる場所がないことが多い。暑さ寒さが過酷な土地もある。そんな中を何日もかけて徒歩で旅行しようだなんて、よく考え付いたものだと思う。 大変な思いは…

皿の中に、イタリア/内田洋子

著者の内田さんはイタリアで長く暮らしているらしい。どんな仕事をしている方なのかよく分からないけど、何かを書くためにカラブリアという場所について知る必要があり、カラブリア出身の3兄弟がやっている魚屋に通い始めるところからこの本は始まる。 魚屋…