2020-01-01から1年間の記事一覧

マーダーズ/長浦京

躊躇いなく人を傷つける恐ろしい奴なのに、好意を持ってしまうのは何故なんだろう。新しい部署がとても楽しそうなので、その辺りの続編が書かれたら読みたい。 マーダーズ 作者:長浦京 発売日: 2019/01/23 メディア: Kindle版

第五番/久坂部羊

もう何年も前に読んだ「無痛」の続編。 「無痛」の内容は殆ど覚えていないけど、生きたまま心臓を取り出すシーンだけ覚えている。 ものすごく残虐な殺人を犯した人を、本人の意志ではないという理由で、普通の生活を送れるようにしてしまうのは大丈夫なんだ…

認知症鉄道事故裁判/高井隆一

著者である高井さんの父親は認知症になり、在宅介護で暮らしていたのだけど、家族が目を離したほんの短い間に外出してしまい、JRに轢かれて亡くなった。 すると事故から半年後に、突然JR東海から約700万円の請求書が届いた。 高井さんは、家族が迷惑をかけた…

さよなら、ニルヴァーナ/窪美澄

14才の時に子供を殺した神戸の少年Aを題材にした小説。 この小説の中で、少年Aが、一部の人達の間でアイドルのように扱われていることになっているのだけど、実際にそういったことがあると、聞いたことがあるようなないような。そんな感じで、半分くらいは実…

残穢/小野不由美

某漫画の作者さんが、書いている漫画に出てくる言葉の元はこの本だと言っていて、以前から気になっていた。怖い話は後から思い出すと嫌なので、手を出さないでいたのだけど、明るいうちに読んでしまえばいいだろうと思って、読んでみた。 最初の方の怪異はや…

コメほど汚い世界はない/吾妻博勝

私たちが買っているお米の袋に書かれている、新米だとか産地だとか銘柄の表示は大抵間違っている。かもしれない。 実際にどうなのか知る術がないし、古米や他の種類の米が混ざっているくらいはまあいい。でも、何かに汚染された米が混じっているのは嫌だ。 …

コラプティオ/真山仁

自分がこうありたいと願っている姿を維持するのって、難しいよなあと思う。無礼な奴にはなりたくないと思っていても、付き合いが長くなってきた相手の扱いが段々とぞんざいになってきたりとか。傲慢な奴にはなりたくないと思っていても、運よく順調な状態が…

沈黙のひと/小池真理子

主人公である怜子の両親は、怜子が幼い頃に離婚し、父親とは殆ど合わないまま暮らしていた。けれど父親のパーキンソン病が進行し、介護施設に入ることになって、父親との交流が始まる。 やがて父親は亡くなってしまうのだけど、遺品から、様々な父親の過去を…

礼賛/木嶋佳苗

著者の木嶋さんが何をした人かは知らずに読んだ。警察車両に乗っている場面から始まるので、何らかの犯罪を犯した人で、その犯罪の経緯がこれから語られるのだと思って読んだけれど、違った。でも、自分の人生には起りえない、他人の奇妙な人生は面白かった…

帝の毒薬/永瀬隼介

主人公の羽生は、いわゆる731部隊に所属していた。下っ端のため、直接実験に関わることはないけれど、現地でも、戦争が終わって日本に戻ってきても、何だかんだで色々と巻き込まれてしまう。(主人公だから・・・。) 戦争を経験した人が当時のことをあまり語…

オペレーションZ/真山仁

近い将来、日本のデフォルト(債務不履行)の可能性があるため、政府は歳出を半減させる案を実行しようとする。その案は、歳出の大半を占める社会保障関係費と地方交付税交付金をゼロにするというもの。これは弱者の切り捨てだということで、様々な反発が上が…

老父よ、帰れ/久坂部羊

主人公の好太郎は40代の会社員で、認知症のため施設に入っていた父親を、自宅に引き取って介護を始める。 将来自分が同じような立場になったら、ということを時々考えるけど、好太郎は介護のためにしばらく仕事を休んでも給料の何割かは貰えるという割と恵ま…

世界のサンドイッチ図鑑/佐藤政人

ひたすらサンドイッチの写真とレシピが書かれている本。 大抵肉やら野菜やらチーズやらが挟まっていて、そりゃあどれだっておいしいよねと思う。 ちょっとびっくりなのがイギリスで、フライドポテトのサンドイッチ・・・これはまあポテトサラダのサンドイッ…

無国籍の日本人/井戸まさえ

戸籍を持たずに暮らしている人がいる。戸籍は通常、子供が生まれた時に親が届け出をすることで登録されるものなのだけど、様々な理由でそれができない人がいる。その理由は、暴力や貧困が原因であったりする。そして戸籍を持たない子供は、学校に通うことも…

雪ぐ人/佐々木健一

日本の刑事事件の有罪率は99.9%と言われていて、つまり起訴されたら無罪を勝ち取るのはほぼ無理ということだ。そんな状況で、無罪14件という実績を持つ今村核弁護士について書いたのが本書。 無実であることを証明するために、膨大な手間と時間を割くことに…

嘘/北國浩二

認知症の人の行動は、普通の人から見ると不可解だけれど、それはできなくなったこととの整合性を取るための行動だったりなど、全部理由がある。そういう理由が分かるだけでも、きっととても救いになるだろうと思った。 嘘 (PHP文芸文庫) 作者:北國 浩二 発売…

太陽の子/灰谷健次郎

主人公は小学6年生のふうちゃんと呼ばれる女の子で、とても明るくて感じの良い子だ。ふうちゃんの両親は沖縄出身で、神戸で沖縄料理店を営んでいる。そのお店に集まってくる沖縄出身の人たちも良い人ばかりなのだけど、沖縄で戦争を経験していたり、沖縄出身…

恵美と一緒に/浦川裕子

娘さんを亡くした母親の手記。 娘さんはどうも付き合っていた男の人と一緒に大学内で自殺したようなのだけど、あまり詳しいことは書かれていない。著者の浦川さんは娘さんが亡くなった理由について疑問を持っていたようで、警察にもそのように伝えたけれど、…

亜玖夢博士のマインドサイエンス入門/橘玲

ここに書かれていることのいくつかは、将来実際に起こることかもしれないと思う。 色々とえぐい話が続くのだけど、最後は予想外にいい話で終わり、うっすら涙ぐんでしまった。 亜玖夢博士のマインドサイエンス入門 (文春文庫) 作者:橘 玲 発売日: 2014/08/08…

言ってはいけない格差の真実/橘玲

差別であるかどうかの判断基準は、相手が不快に思うかどうかではなく合理的に説明できるかどうかであり、それが世界標準の考え方である、とのこと。 差別と区別は違うよねと思っても、じゃあ何が差別で何が区別なのかというと自分の中できちんと定義できてい…

評価経済社会/岡田斗司夫

農業革命、産業革命に続く第3の変化の波、情報革命によって、私たちの価値観は大きく変わりつつある。各時代で主流となるものの考え方はそれぞれだけれど、その根底にあるのは「沢山あるものはパーッと使って、少ないものは大事にする」ということだ。時代に…

亜玖夢博士の経済入門/橘玲

これ絶対酷い目にあうんだろうなあと思って嫌な気分になりつつも、怖いもの見たさで続きが気になってしまう。 相談に乗ってあげる、願いをかなえてあげると言いながら、無邪気に人を陥れるこの人達は一体何なのか。世の中は仕組みは自業自得や因果応報ではな…

臆病者のための裁判入門/橘玲

海外から日本に来て働いている友人がトラブルに巻き込まれたため、著者の橘さんが裁判のサポートをすることになった。被害の内容は大したことがないのだけど、過去に例がない珍しい案件だったため、散々たらい回しにされたというお話。 面白いと思って読んだ…

笹の舟で海をわたる/角田光代

主人公の左織は現在60代で、幼い頃、戦争のため親元を離れて疎開した経験を持つ。そこでの出来事は、いじめがあったり、食べ物が満足に食べられなかったりと、つらい記憶として残っている。 20代の頃、左織には全く記憶がないが、疎開先で左織によくしてもら…

食べるたびに、哀しくって・・・/林真理子

林さんのお祖母さんの家はお菓子屋さんだったそうで、余ったあんパンやジャムパンを、翌朝炊き上がったご飯の上にしばらく乗せてから食べるとあつあつでおいしかった、という話がすごくおいしそうだった。ご飯の上にパンを乗せるって大分斬新だけど、当時は…

アマテラスの暗号/伊勢谷武

日本人の祖先は、イスラエルの辺りから来た人達かもしれない。私は全く聞いたことがなかったのだけど、事実に基づいた話らしい。 それにしても、色々な神社があるんだなあ。少し行ってみたくなった。 アマテラスの暗号 〈歴史ミステリー小説〉 作者:伊勢谷 …

人生の法則/岡田斗司夫

著者の岡田さんによると、人は欲求のタイプにより4種類に分けられるそうだ。その4タイプとは注目型、指令型、理想型、法則型で、完全に4タイプにきっちり決まるかというと、指令型寄りの注目型だったり、その時の調子によって揺らぐこともある。人をタイプ分…

ニートが見た松戸裁判傍聴日記/市川春希

著者は仕事を辞めてから転職するまでの間に、ほぼ毎日最寄りの裁判所に通い、裁判を傍聴し続けたそうだ。この本では、著者が傍聴した中で印象に残った裁判を6件紹介している。 ニュースにはならなくても、こんなにも色々な事件が起こっているのだなあ。面白…

死体格差/西尾元

解剖が必要とされるのは、穏やかな死を迎えられなかった人の遺体だ。著者の西尾さんが解剖してきた人達の約50%が独居者であり、約20%が生活保護受給者、約30%が精神疾患患者だそうだ。 日本では生活に困ったら生活保護を受ければよいという話を聞くことがあ…

熊と踊れ/アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ

この小説は、スウェーデンで実際に起こった事件が元になっているそうだ。タイトルの「熊と踊れ」は、主人公のレオが、自分より強い相手に勝つ方法を父親から教わった時に、父親が言っていた言葉だ。この父親は暴力的な人間で、ある時妻を半殺しにしてしまっ…