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読んだ本の記録。

アンダーグラウンド/村上春樹

最近読んだ本の中でこの本が言及されていて、気になったので読んでみた。

村上春樹さんが、地下鉄サリン事件の被害にあった方や事件に関わった方たちに聞いたことをまとめた本。

事件のことだけでなく、生い立ちやどんな仕事をしているかなども書かれている。

村上さんの小説はいくつか読んだことがあるけれど、そういえばこの方の小説以外の文章を読んだことがない。

考えてみると、作家さんの書いた作品を読むことはあっても、その人がどんな人でどんな考え方をする人なのか、知る機会って無いものだな。

村上さんが、地下鉄サリン事件に関わった人達にインタビューをする際、インタビュイーの印象を「自分はこういう人だと思った」と書いているのを見て、こんな風に人を観察する人なんだな、と新鮮な感じがした。

 

サリン散布の実行犯は、サリンを撒きたくなかった

サリンは複数個所に撒かれたので、それを実行した人は複数いるのだけど、その全員が、サリンを撒くことをとても酷いことだと認識して、やりたくないと思っていた、ということが書かれていて、少し意外に思った。

信じるもののために、正しいと思ってやったわけではなかったんだな。

オウムの信者となった人達が、どういう経緯でオウムと関わり、どんな考えを持った人たちなのか、機会があれば知りたい。

 

日本でテロが起こるなんて誰も思わなかった

サリンによって何人かの人が倒れたり症状を訴え始めた時、周辺にいた人達は、その辺り一帯で問題が起こっているとは思っていない。

自分の体調が少しおかしくなってきても、それらが関係のあることだとはほぼ誰も思っていない。

この頃の日本では、自分の生活圏内でガスや細菌が撒かれるなんて、誰も思いもしなかったということなんだろうなあ。

 

乗客の命を守るのは駅員の仕事?

駅員さんが皆、自身にサリンの症状が出始めても、体調を崩した電車の乗客を放っておけないと介抱していたのだけど、乗客の安全を守るのも駅員さんの仕事に含まれているのだろうか?

仕事でもないのに人助けをしたらおかしいということではなく、皆が皆、自分もサリンの症状が出て苦しいのにそれでも、という感じだったようなので。そこまで体張らないといけない仕事だっけ?と思った。

そこにいたら自分も危ないということが分からなかったという理由もあるのだろうけど。

それにしても、医療関係の仕事についているとか、普段から人の命を預かっている方はこんな時にも率先して人を助ける行動ができるだろうけど、駅員さんが皆そういう行動をされたようだったので少し驚いた。

私が知らないだけで、駅員さんは皆乗客の命を預かっているという意識を持って日々の仕事をしているのかもしれない。

 

 事件はその後どうなったか

逃亡犯を除く全ての判決が確定しており、首謀者である麻原彰晃を含む13名の死刑が確定しているものの、執行はされていないとのこと。

死刑が執行されない理由の一つに、麻原が精神を病んでいるから、ということがあるらしい。

精神を病んでは反省することもできず、きっと回復もせずこのまま朽ち果てていくんだろうなあ。厄介な人だ。

 

アンダ-グラウンド

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