欲望について/ウィリアム・B・アーヴァイン

自分が何を望んでいるのか分からない時が度々ある。望むものが分かればそれを満たすように努力するのに、分からないから嫌な気分のままだ。自分が何を望んでいるのかをできるだけ正確に知る方法がないかと思って、この本を読んでみた。

 

まず欲望がどのように発生するかというと、殆どの欲望は無意識のうちに発生する。私達は自分の意志で望み、何故それを望んだのか理由を説明できると思うかもしれないけれど、理由なんてものは後付けらしい。情動が欲望を発生させ、知性がそこに、あたかも自分の意志でそれを望んだかのような理由をつける。

また、情動が引き起こした欲望に、知性が欲望を叶えるための手段を提供する。情動が手段を承認し、行動に移す。

情動が引き起こす欲望は人の生存や繁栄にもとづくものなので、知性は拒否するのが難しい。でも情動は知性が形成した選択を拒否することがある。だから快・不快の感情(情動)を押さえつけるのは難しく、意志の力(知性)は弱い。

ならばしたいと思ったことはごちゃごちゃ考えないでその通りにやるのが一番正解に近いということか。

ちなみに情動がなくなれば常に論理的な選択ができるようになるかというとそうではなく、脳に傷を負って情動が働かなくなった人は、何も選べなくなってしまうらしい。

 

というわけで、欲望は無意識のうちに発生するので、私たちはその理由をいつも正確に知れるわけではない。後付けの理由は間違う可能性がある。

私は自分の意志で合理的に考えて選択したと思った時に満足していたけど、それらしい理由を考え付くのが上手くできただけかもしれない。

私の「自分の望みを知りたい」という望みについてはどうすればいいかというと、どうやらあまり簡単な解決策はないようだ。そういうことなら仕方がない。

 

欲望について

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