楽園の眠り/馳星周

私に子供はいないけれど、時々誰かに対して意地悪なことを言ってやりたくなる時があり、あの気持ちが増幅されるともっと酷い攻撃をするかもしれない。そう考えると、誰でも子供を虐待してしまう可能性はあるのだと思う。特に気持ちに余裕がない時であれば。

手を出すところまではなかなかハードルが高そうな気もするけれど、相手が自分よりずっと弱いとなれば、もしかするとそのハードルはそれほど高くないのかもしれない。世話をしないことなども虐待だけれど、そういうことであれば心理的な抵抗は大分少なそうだ。

伸は息子を虐待してしまう一方で、息子を愛していると言っていたけれど、それを断言できる気持ちは私には分からない。そもそも愛とは何なのかが曖昧なのに。