がんと闘う・がんから学ぶ・がんと生きる/中島みち
この本は元々3冊に分かれていた本を1冊にまとめたもので、(1)著者の中島みちさん自身が乳癌になった時の話、 (2)末期の癌になり亡くなってゆく女性と、その友人の女性(癌になったがその後再発はしていない)の話、(3)中島さんの旦那さんがある日突然末期の肺がんであることが分かり、亡くなるまでの数か月の話 で構成されている。
この本に書かれている出来事が起こったのは今から40年ほども前のことで、今でも同じような状況なのかどうか分からないけど、癌になるということがこんなに大変なことだとは。
命に関わることなのだから大変なのは当たり前だし、症状も人それぞれだろうけど、患者の苦しみ、家族や医師の苦悩は想像以上に大変そうだなという印象を持った。
(2)(3)の話では、本人に真実は告げられていない。それで、真実を知っている周りの人がとても苦しむ。本人への告知は、しないことが多いんだろうか。自分が癌になったら本当のことを知りたいと思うけど、元気な時はそう思っても、やはりいざという時には知らない方が良かったりするのだろうか。
検屍官/パトリシア・コーンウェル
フェアトレードのおかしな真実/コナー・ウッドマン
緑色のカエルのマーク、フェアトレードと書いてあっても、どれほどの意味があるのだろうと正直思う。 実際、あのマークがついているものの原材料などの取引において、最低価格は保証されているけれど、そもそも最低価格を下回ることがなく、フェアトレードに関心を持っている企業であるという宣伝のような役割になってしまっていることもあるらしい。フェアトレードを謳っていないものの方が、適正な価格で取引をしていることもあるようだ。まあ、そんなものだよねえ。
危険な労働環境であっても受け入れざるを得ない人々、世の中によくないものであってもそれを売ることでしか生きていけない人々がいる。私達はそうやって作られたものをよく知らないまま利用して、平和に暮らしている。急速に便利になったのは一部の場所だけで、何年も昔のまま取り残されている場所がある。
「生きる」という権利/安田好弘
弁護士である著者の安田さんが携わったいくつかの事件について書かれた本。
特に大変だった事件を選んで書いてあるからなのか、色々とつらい。こんなに頑張っても、ままならないことばかりなのかと思う。
弁護士という仕事の難しさは、法律の知識がどうとか頭が良くなければとかいったことよりも、最も重要な点は人間を相手にする仕事だということだと思う。こんなに神経をすり減らすような仕事は、誰にでもできることではない。
計画的な犯行というものはかなり少なく、色々な悪い条件が重なって事件に至ってしまうことが多い、という言葉が印象に残った。 大抵の人は事件を起こしたことを申し訳なく思っていて、詳細を思い出すのもつらいので、「こういう段取りでやったんだろう」と言われると、間違っていてもそうだと言ってしまうことが多々あるらしい。
雑学「大江戸庶民事情」/石川英輔
今の世の中は、色々な技術が進歩して便利になった面もあるけれど、進歩が速すぎて、環境の再生速度よりも破壊速度の方が上回ってしまっている。それに、常にもっと上を目指さないといけないというプレッシャーを感じる。でもそういう生き方で人生が豊かになるのかと考えると、私は程々にしたい。常に成長するのが好きな人もいるだろうし、人それぞれだとは思うけど。
昔のようなもう少しのんびりした暮らしを取り入れてみるものいいのかなあと思う。
なぜヨーロッパで資本主義が生まれたか/関廣野
色々書いてあったと思うのだけど、多分私にこの本を読むための下地となる知識がないせいで、何が書いてあったかというとうまく言えないし感想が出てこない。
そんな感じなので、ほんの限られた点について思ったことを書いておく。
時々、海外の実力主義を見習うべきだというようなことが話題になるけれど、それで良いのは戦い抜ける人、成功できる人であって、できない人も極端に落ちこぼれずに済んでいたのが日本の社会の仕組みだったのだろう。会社の年功序列とか。なので、自由な代わりに自力で戦わなければならないストレスにさらされるのが良いか、出ようとすると叩かれるかもしれないけれどあまりストレスがないのが良いかというと、一長一短だなと思う。