知の教室/佐藤優

佐藤さんは、すぐに役に立つ実務的な知識は賞味期限も短い。一見役に立たなそうな教養が、人生の危機に直面した時に役立つ。というようなことを(この本に限らず)何度か言っている。

確かに、仕事に関係する知識は目の前の仕事をこなすのには役に立つけど、この先どうやって生きていくかなど自分の人生全体のことを考える時や、予め備えておくことが難しい問題に直面した時には役に立たない。

そういう時には、自分の中に持っている指針みたいなものに頼ることになると思う。

それを形作るのが教養というやつだね多分。

 

この本に、ヒトラーは沢山本を読むことで政治の武器を得ていたと書いてあり、どういう人なのかと興味を持った。

図書館で「我が闘争」を見かけたことがあった気がしたので、見に行ってみようかと思って名古屋市の図書館全体で検索したけど、ヒットしなかった。何だろう。

大震災の後で人生について語るということ/橘玲

長い間、白鳥には羽の白い鳥しかいないと思われていたけれど、実は羽の黒い種類もいるということが分かった。そこから、想定外の出来事をブラックスワンと言うらしい。

この本のタイトルには震災と入っているけれど、震災について書いた本ではない。著者の橘さんが、東日本大震災というブラックスワンによって人生設計の経済的な基盤を根こそぎ奪われた人々を見て、橘さんがこれまで書いた本の中で述べてきた「人生設計のしかた」をまとめたものだ。

 

それでどうすべきかというと、「卵を一つのかごに盛るな(資産を一極集中させるな)」ということだと思う。

持ち家は天災やら人災やらで金融資本を一度に失うことになるからハイリスクだし、一旦勤め始めた会社にすがる働き方は、その会社の中でうまくやっていくことに注意を注がなければならないから楽しくない。

後者の話は私も、新卒で入った会社で嫌なことがあっても我慢するしかないと思っていた。簡単に他へ行けないと思っていたから。今でも、他へ行くのは不可能ではないにしても、気合が要ることだとは思うけど。

IoT革命/大前研一

IoTとはInternet of Thingsの略で、あらゆるものがインターネットにつながるようになった状態のこと。それにより、世の中でどのような変化が起こっているかをこの本で紹介している。

 

最初の章だけ大前さんが書いていて、残りの三章は別の方が書いている。

全部読んだけれど、元はと言えば大前さんが書いたIT関連の本ってどんな感じだろうと思って手に取ったので、大前さんの章に絞って感想、覚え書きなど書いてみる。

 

この本が出たのは2016年で今から3年前だけれど、私この業界に多少なりとも関わる者でありながら、この本に書かれていることは割と最近知ったことが多いや・・・。

コンサルティングの仕事をしている人というのは、その分野の専門家よりも詳しい知識を持って専門家の人達に提案をするわけだから、とんでもない仕事だなあ。高給取りなわけだ。

コカ・コーラの水増し監視システムとか、静岡県三島市で提案した(けど引っ張る人がいなくて実現しなかった)、空いている工作機械を地域で共有してコストダウンする話とか、面白そうな仕事をしていらっしゃる。と言うか、そういう案を考えられるところがすごい。

 

章の最後の質疑応答で、伝統的な大企業は変化にどう対応しているのか?という質問に対する大前さんの回答が、「質問が矛盾している。伝統的な大企業は、IoTで成功できない。」ええー、そんなピシャッと言い切っちゃうんですか。

大前さん曰く、もし三菱自動車Uberのアイデアを思いついても、関係者に説明するだけで五年、実現するには一世紀だと。ヒエーこれまたバッサリ。

大企業でIoTに取り組むのであれば、柔軟な頭を持った三人をピックアップし、半年に一回だけ報告するという条件で、あとは自由にさせると言った方法くらいしかないのである。

 なるほど、そうかもしれない。そして実際やれるかというと、仰る通り無理ですね。

いつかの夏/大崎善生

今から10年ほど前に起こった、名古屋闇サイト殺人事件について書いた本。事件当時のことは覚えていない。数か月前に、亡くなった女性の母親が、NHKの番組で事件について語っていたのを見て知った。

番組を見てぼろぼろ泣いてしまったので、この本を読むのを躊躇っていたのだけど、あまり泣かずに済んだ。音と映像の力が大きいということなのか、私に想像力がないということなのか。

 

真面目に生きていた人が、こんなしょうもない人達に殺されなければならなかったなんて理不尽だ。こういう人たちに関わらないようにしたいが、こちらがいくら気を付けても向こうから近付いてくるのだから、天災のようなもので防ぎようがない。

つい最近浜松で起こった事件も、インターネットを通じて集まった人たちが女性を拉致して殺してしまったというものだったはず。あれこそ、夜遅い時間に出歩いていたわけではないのにどうしたらいいのかと思う。

他人から金を奪おうなんてどうしようもない思考回路の人達だ。けど、そう考えてしまうのはお金がなくて犯罪に手を染めざるを得ない状況に陥っているということだろうから、そういう状況を作らないようにするのが一番の解決策なのかもしれない。うーん、ベーシックインカム

世界を変えた巨人たちIF/落合信彦

もし歴史上の有名人と話ができたら何を語るか、今の世の中や日本を見てどう思うかインタビューをしたら何と答えるか、を落合信彦さんが想像して書いた本。

落合信彦さんがどんな方なのかは殆ど知らない。息子さんの落合陽一さんを先に知って、そこからお父さん何やら有名な人なんだな、ということで知った。

 

私は歴史上の人物にあまり詳しくないし、親しくしていて亡くなった方はいないので、特に亡くなった方と話してみたいという願望はないけれど、こういう想像をするのは楽しいだろうなあ。

「自分の子供が殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい/森達也

この本はダイヤモンド社の雑誌に連載していた内容をまとめたもので、ダイヤモンド・オンラインにも転載されていたらしい。ダイヤモンド・オンラインは時々見るけど、森さんが書いたものが載っていたとは知らなかったな。

森さん曰く、記事によってはボロクソに言われることもあったようだけど、私はこの方の言っていることに全く嫌な感じはしない。むしろ好きである。

何でかというとうまく説明できないけど、波長が合うということなのかなあ。全部正しいと思うとか、同意見というわけではないのだけど。致命的な所では考えが食い違わない、ということかもしれない。

 

この本には色々書いてあるので、印象に残っている部分を箇条書きする。

  • クマバチは○○系だから積極的に刺さないはずと気付く小学五年生の息子さんとのやり取りが面白い。
  • ハンセン病という言葉は聞いたことがあっても、どんなものか全く知らなかった。色んな悲しいことがある。
  • 古事記の神話は信じないのに、原発安全神話は何故信じてしまったのか。イヤホンを耳に入れたまま人に質問をするのは私も非常識だと思うけど、本人はそうは思わず、でも質問の内容はしっかりしている学生さん。そして疑問に思った時に言わないからだという森さんの指摘。(この学生さんは、授業中は質問できる空気じゃなかったといってあとから質問に来た。)
  • やっぱり日本は事件の報道が多いんだな。朝ニュース見ようと思っても、国際ニュースなんてNHK以外殆どやってない。
  • 吹き替えが被せられることにより、元々話している人が発していた情報が聞き取れなくなってしまう。なるほど。
  • A3は読んでいないはずまたいずれ読もう。

「諜報的生活」の技術/佐藤優

最近、現状から脱出するにはどうしたらいいかと考えているので、引き際を間違うと泥沼になるという話が特に印象に残った。

気が付けば以前と同じ状況に陥っていて、そろそろ引き際について考えないといけないのかなあと思っている。でも抜け出す算段をつけられていないので、しばらくは現状で耐えるしかない。

 

引き際の話に続いて、始めるときに終わりについて決めておくのが良いと書いてある。

目的が達成された時、または一定の期間が経過した時にどうするかを決めておくのが良い。でないと方針を変えないといけないはずのタイミングを逃し、時間を無駄にしてしまうんだと。

現在の問題は、残念ながら私には、終わりまで見通せるようなものではなかった。それは仕方ない。でも今時間を無駄にしてしまっていると感じているので、そろそろ次の一手を考えないと。