ダーク/桐野 夏生

シリーズものだと知らずに読んだ。何とこの作品がシリーズの5作目で、しかも完結編らしい。登場人物の人間関係を知っていることで印象が変わると思うので、順番に読みたかったなあ。

 

登場人皆、性格が激しすぎる。もうちょっと穏やかに生きられないものか。

特に主人公が育ての父親を見殺しにするシーンが地獄絵図だった。この二人の人間関係がどんなものだったのか詳しくは分からないけど、それほど悪くはなかったようなのに、好きな男の遺書を捨てられたからといってあんなことするか。

しかし男の方も自分の娘と同じ年齢の愛人にパパリンと呼ばせるあたり大分まともじゃないので、まあどうなのだろうという気もする。この辺りは友部が言っていた説が気になる。過去の話を読んだら何か分かるだろうか。

皆激しいけど、この話で最も輝いていたのは主人公ではなく久恵だと思う。盲目でレイプされるなんてとんでもなく恐ろしいことだと思うけど、こんなものは大したことがないと言い、更にはその相手を手玉に取るとは。どう生きてきたらこんなに強くなるんだよ。