2021-01-01から1年間の記事一覧

タイタン/野崎まど

人間の仕事をAIが肩代わりするようになってから100年以上経った頃、世界に12基あるAIのうちの1基が不調になる。原因を探るため、AIを擬人化し、AI自身に不調の原因を尋ねることにした。そのカウンセラーとして選ばれたのが主人公。 パートナーのマッチングも…

引火点/笹本稜平

ビットコインは今のところごく一部の人だけがすごく得をしたり損をしたりしている状況だと思うけど、普及はするのだろうかどうだろうか。私のような者には、普及してみないと良さが分からないかもしれない。あまり積極的に使ってみたいという動機もないし。 …

一億円のさようなら/白石一文

何十億ものお金があっても、使い道がなく、だらだらと浪費するだけでは人生が破綻しそうなのであまり欲しいと思わないけど、それだけのお金がなければ絶対にできないことにバーンと使えるならいいな。そういう機会は、普通に生活している人には殆ど訪れない…

花酔ひ/村山由佳

着物の話か仕事の話かと思って読み始めたら、ああ、こういう話か。本の表紙から考えると、まあそうだよね。 せっかく相性の良い相手を見つけたのに、勿体ない。昔、夫婦がお互いのパートナーを入れ替えるという少女漫画があって、皆が本音を包み隠さずぶっち…

地面師たち/新庄耕

こういう仕事は、うまく行ったら面白いと感じるかもしれない。そのせいでつらい目にあう人達のことを考えないのであれば、だけど。 地面師たち (集英社文芸単行本) 作者:新庄耕 集英社 Amazon

悪の教典/貴志祐介

サイコパス蓮見先生。人の気持ちが分からないというのは、そういう障害だと思うので悪かというと違う気がするし、気の毒だと思うけど、さすがにやりすぎで段々とイライラしてくる。 人の痛みが分からないというのはその通りだとして、お互いに相手を殺しませ…

難民調査官/下村敦史

難民調査官がどういうふうに仕事をしているのかや、難民の定義などが分かって面白かった。 一見正しい/間違っているように見えることも、立場が違えば何が正しいかが異なることもある。そのうえで一番良いと思えるルールを決めてやっていくしかない。 難民調…

魂萌え!/桐野夏生

突然夫を亡くした女性が主人公で、生前の夫が実は何年も浮気をしていたことが分かったり、殆ど音信不通だった息子が遺産を相続してほしいと言ってきたり。 私は子の立場から考えるのだけど、もし父が突然死んだら母はどのくらいショックなのだろう。私にはあ…

私の男/桜庭一樹

何年か前に読んでいたら投げ出していたかもしれない。今はアリだなと思う。父親に対する感情を自分に当てはめて共感することはできないけど。 誰が悪いと言ったら父親が悪いんだろうなあ。最初に手を出した時の年齢がさすがにちょっと・・・。どうしてそうい…

狙撃手のオリンピック/遠藤武文

今ちょうど東京オリンピックに関して、実施を反対する話やらIOCが酷いということが話題になっていて、コロナ下という特殊な状況だから出てきた話かと思っていたけど、私が知らなかっただけでオリンピックは以前からそういうものだったのかな。 公安は単独で…

ダーク/桐野 夏生

シリーズものだと知らずに読んだ。何とこの作品がシリーズの5作目で、しかも完結編らしい。登場人物の人間関係を知っていることで印象が変わると思うので、順番に読みたかったなあ。 登場人皆、性格が激しすぎる。もうちょっと穏やかに生きられないものか。 …

神域/真山仁

自分で自分をコントロールできない状態で生きるよりは、場合によっては死ぬ可能性がある方法でも、私だったら使ってほしいと思う。加齢とともに体のどこかが駄目になるのを、医療で不自然に食い止めたいとはあまり思わないけど、脳だけは、駄目になったまま…

嘘/村山由佳

この方の本は、何と言ったらいいのか、展開が少女漫画っぽいのかなあ、とにかくすごくドキドキする。 途中は、うあー酷い、と思いつつそれはそれで楽しく読んだけど、最後の最後にまた酷い目にあうんじゃないかと思って冷や冷やした。 正木君は何事もなけれ…

病巣/江上剛

数年前に発覚した、東芝の不正会計をモチーフにした小説。 経営陣から無理強いされ、間違いだと分かっていることをやらされる社員達の様子を見ていると悲しくなる。その会社の一員であることを誇りに思っている人ほど、深く絶望する。 私も似たような思いを…

ストーカーとの七〇〇日戦争/内澤旬子

著者の内澤さんは、付き合っていた相手と気が合わないと感じ、別れを突き付けたところ、相手の男性が突然様々な嫌がらせをしてくるようになった。そのために、隠れるように住む場所を変えなければならなかったり、警察や弁護士に相談したり・・・。 ストーカ…

法廷弁論/加茂隆康

なぜかすごく淡々と語られているように感じた。文章の書き方がそういう感じなのか? 弁護士も食いっぱぐれることがあるんだな。 法廷弁論 作者:加茂 隆康 発売日: 2018/04/19 メディア: 単行本

黒い太陽/新堂冬樹

寝たきりの父親のために金を稼ぎたい立花君が、風俗業界で頑張るお話。 誰が一番優秀か、誰をどのポジションに持ってくるのが一番得策か、誰が一番上の人に目をかけられているか、・・・って、これどこの業界でも一緒だな。何だかうんざりしてしまうな。 黒…

モンローが死んだ日/小池真理子

夫に先立たれて以来一人暮らしの鏡子は、ある時精神的な不調を覚え、精神科に通うことになるが、高橋医師の治療により体調はあっという間に改善した。その後鏡子と高橋医師は個人的な交流を持つようになるが、ある日突然高橋医師との連絡がつかなくなる。 そ…

網内人/陳浩基

主人公のアイは、インターネット上の不審な書き込みが妹の死に関係しているようだと知り、その方面に詳しい探偵アニエに調査を依頼する。 アニエ、ITに詳しいだけかと思いきや、メンタリスト的な面もあって強すぎる。そしてこれだけ色々やって、いつ寝てたん…

アグルーカの行方/角幡唯介

1845年、フランクリン隊というイギリスの探検隊が、アジアに抜ける航路を求めて北極に向かったが、129人の隊員は散り散りになり、結果的に全員がその地で命を落とした。 著者の角幡さんは、フランクリン隊が通ったとされるルートをたどることを目的として、…

私もパーキンソン病患者です/柳博雄

著者の柳さんは、退職後に大学の非常勤講師として働いていたが、ある日歩けなくなり、パーキンソン病と診断された。 人が思い通りに体を動かすためには、体を動かす方向に作用するドーパミンと、動きを抑制する方向に作用するアセチルコリンという神経伝達物…

その悩み、哲学者がすでに答えを出しています/小林昌平

私自身は今かなり平和で、これと言って悩みがないのだけど、あえて言うならば「やりたいことがない、楽しいことがない」。 まさにこの通りの項目があり、道元の答えが書かれていた。その答えとは、「日々の雑事を集中して丁寧に行うことで、生きる喜びを感じ…

サル化する世界/内田樹

タイトルの「サル」とは何のことかというと、朝三暮四のサルのこと。ある人が、飼っていた猿に朝4つ、夕方4つの餌をあげていたのだけど、餌代を節約しなければならなくなった。そこで猿たちに、今後は餌を朝3つ、夕方4つにすると言ったら猿が怒ったので、朝4…

面従腹背/前川喜平

組織に所属していると、自分の意に沿わないこともやらないといけない。だから前川さんは、面従腹背を座右の銘として公務員をやってきたのだそうな。 それは一般の会社でも同じで、私はそういうのが嫌で会社を辞めてしまった。最初は何も知らなくて、会社が好…

恐怖の地政学/T・マーシャル

タイトルに「恐怖の」と付いているけれど別に恐ろしいことが書かれているわけではない。山とか川とか、人の行き来が困難な場所があると発展しにくいよとかいうお話。 アフリカが、アメリカの3倍もの大きさだということや、船が航行できないような川が沢山あ…

白い衝動/呉勝浩

凶悪な犯罪を犯す人間は、理解不能な悪魔なのか、それとも自分とほんの少し何かが違うだけなのか、と言ったら、私は後者だと思う。 白い衝動 (講談社文庫) 作者:呉 勝浩 発売日: 2019/08/09 メディア: 文庫

奈落/古市憲寿

歌手として活躍していた香織は、ステージから転落し、殆ど体を動かすことも、喋ることもできなくなった。それが多分20代前半のことで、この小説の中では、香織が40代になるまでの出来事が書かれている。 本を読むと大抵自分だったらどうするかと考えるのだけ…

百の夜は跳ねて/古市憲寿

主人公は、大学まではさほど苦労せずに進んだけれど、就職に失敗してビルのガラス清掃の仕事をしている*1。彼は清掃中のビルの窓越しに出合った老婆に乞われて、清掃中にビルを盗撮し、盗撮した写真を老婆に渡すことになる。 誘った老婆も、誘いに応じた主人…

80's/橘玲

著者である橘さんの、20代の頃の出来事。 20代の頃に書いたという文章が紹介されていたのだけど、エッ、これ最近書いたんじゃないのと思った。ご本人も、言っていることが今とほとんど変わらないので驚いたと書かれているけど。 仕事で会社に泊まり込んでい…

平成くん、さようなら/古市憲寿

安楽死が認められた世の中で、一見特に死ぬ理由が見当たらないパートナーから、死にたいと言われたら。 一応、それなりの理由がなければ安楽死が認められないという設定のようなので、大抵は周りの人も納得できるのだろう。けど、本人が心から納得していない…